この拡大計画は、カジュアル志向のファストフードレストラン「シェイクシャック」の創業者ダニー・マイヤーの後押しを受けている。マイヤーは先ごろ、自身が会長を務めるユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループ(USHG)傘下のグロース・エクイティファンド、エンライトンド・ホスピタリティ・インベストメンツ(EHI)を通じて、チップ・シティに1000万ドルを投資した。
2022年10月21日付のリリースによれば、EHIは、小売店運営やホスピタリティに関する豊富な専門知識をチップ・シティに提供するほか、USHGと連携し、戦略面や経営面での助言もおこなうという。USHGは、ユニオン・スクエア・カフェをはじめとする飲食店を運営している。
サプライチェーンと生産のセルフ・オーナーシップ
筆者は最近、フィリップスに独占インタビューをおこなったのだが、それによれば、チップ・シティは現在、マンハッタン、クイーンズ、ブルックリンにある14店舗でクッキーを販売している。チョコチップ、ピーナッツバター&ジェリー(ジャム)、スモア(ダークチョコチップとマシュマロの組み合わせ)など18種類のクラシカルなフレーバーが、週替わりで提供される。USHG傘下のポートフォリオ会社である「ジョー・コーヒー」のコーヒーも提供している。
チップ・シティが製品の質と鮮度を維持できる鍵は、生産体制にある。クイーンズのカレッジ・ポイントにある1万8000平方フィート(約1700平方メートル)の工場でつくった冷凍生地を各小売店舗に配送し、焼きたてで提供しているのだ。「膨大な時間を費やして、最新鋭の施設を構築しています。生産は、すべて自社でこなしています」とフィリップスは言う。
チップ・シティは、新たに調達した資金をもとに、フロリダ州で製造工場を新設する予定だ。ボストン、コネチカット、ワシントンD.C.エリアでオープンする新店舗に加えて、フロリダ地域でも新規開店に向けた準備を進めているのだ。
そうした店舗は、今後もチップ・シティ売上の大部分を占めると見られる。同社売上の30%前後は、消費者への直接販売と、ウーバーイーツでの販売に由来している。