状況は本当にそこまで悪いのか、それとも1年前の3分の1まで下がったメタ株は絶好の買いなのか? 同社はすばらしいけれども歳を重ねつつあるソーシャルメディア・ブランドのファミリーを有している。フェイスブック、Instagram(インスタグラム)、およびWhatsApp(ワッツアップ)だ。それぞれ20億人以上のユーザーがいる。合わせて年間1200億ドル(約17兆6000億円)をもたらし、この四半期だけで純利益は44億ドル(約6440億円)に上る。ただしこれは前年より50%少ない。Apple(アップル)の広告トラッキング方針の変更が大きく響いている。
これは、驚くべき影響と力をともなう桁外れに複雑な国際ビジネスだ。当然、投資家はこのビジネスについて、また同社の桁外れの力がどうやって深刻な逆風を乗り越えられるのかについて、もっと知りたがっている。しかし、投資家が聞いたのは、その縮小した利益がどのように、彼らの理解できない何か(VR)や存在しない何か(メタバース)に注ぎ込まれるかだった。
メタのFacebook Reality Labsは、看板商品のQuest 2の販売落ち込みで売上が49%下落した。自信を高める材料ではない。全体で、同事業部門は同四半期に37億ドル(約5420億円)の営業損失を計上した。現時点でメタは、今も稼いでいる(本四半期は44億ドル)資金のすべてをメタバース(37億ドル)につぎ込んでいる。投資家はメタの議決権を持っておらず、同社の取締役会は創業者自らが選んでいるので、投資家にできる唯一の議決行動は、自らの足による意思表示だ。
マーク・ザッカーバーグのメタバースへの入れ込み具合と、堕ちつつあるソーシャルメディア帝国に対する責任放棄ともとれる態度は、この会社が直面する別の課題だ。それはメタ社員にも難しい選択を突きつけている。2017年以降に入社した社員は、アンダーウォーター(金銭的価値のない)ストックオプションを持っている。彼らもまた自らの足で意思表示することができる。低迷景気の中でさえ、優れたエンジニアは常に必要とされている。
信じられないかもしれないが、こうした壊滅的に見える結果にもかかわらず、私はマーク・ザッカーバーグを称賛してしまう。彼は歴史的なビジネスリスクを負って、新しいプラットフォームを現実にしようとしている。全世界は今メタバースに取り憑かれている。彼のせいで。なんとすごい話だろう。これはでっちあげられるものではない。一番良いところは、何が起きるのか誰も知らないことだが、投資家が最も嫌う状態でもある。
(forbes.com 原文)