フューチャー・フォーラムでは、調査活動だけでなく、企業の幹部を招いて意見交換をする席も設けているが、そうした場で企業上層部と話をすると、生産性や企業文化の問題が常に懸念事項として持ち上がると、エリオットは証言する。だが、今回の調査データによると、一般従業員は、より柔軟に働ける環境のほうがより生産性が高くなる傾向があり、リモートワークによって企業文化が崩壊するという懸念は、いささか誇張されているようにも見受けられる。
フューチャー・フォーラムの報告書では、自らの労働時間を完全に自由に決められる従業員と、労働時間について全く自由がない従業員を比較すると、主観値では前者のほうが生産性が29%高く、集中力も53%アップしている。なお、今回の報告書をリリースしたSlackは、ハイブリッドワーカー向けの「デジタル本社」的な役割を果たすツールを開発している企業だ。
リモートおよびハイブリッド環境で働く働き手では、企業文化がこの2年で改善したと回答した人の割合が、毎日オフィスで働く人と比べて52%多くなった。一方、企業幹部では、従業員が1つのオフィスで一緒に仕事をしないことで「チーム文化にマイナスの影響があった」と答えた者が全体の25%に達している。
「企業幹部がこの点をストレスに感じる理由は理解できるが、こうした心理から生じた行動は、彼らが成し遂げたいという目標にはマイナスに働いている」と、エリオットは指摘する。例えば今回の報告書では、調査対象となった企業幹部の60%が、方針を策定する際に従業員から直接意見を聞くことはほとんどないと回答している。
エリオットによれば、こうした行動を取っていると、才能ある従業員を採用しようとしても、他社との競争に敗れるおそれがあるという。「経営陣がいまだに、幹部レベルのみの議論に基づいて大半の決断を下し、従業員の声を聞いて理解しようという姿勢を見せない場合、後退するリスクを冒していることになる」と、エリオットは警告を発した。
(forbes.com 原文)