英スナク新首相の「超富裕層インド人妻」 巧みな節税戦略の中身

英国のリシ・スナク新首相と妻のアクシャタ・マーシー(Getty Images)


Pitchbookによると、Catamaran Ventures UKは、高級家具のマーケットプレイスのThe New Craftsmenをルパート・マードックの長男と共同所有し、オンライン花屋のBloom & Wildに出資している。同社は、カタールの支配者一族が設立した民間投資会社dara5にも初期投資を行ったと報じられている。彼女の父親が率いるCatamaran Venturesのインドにおける主要ファンドは、スペースXやReddit、ゲーム会社のLocoに10億ドル以上を投資している。

インド人妻の納税免除に批判


マーシーは、スナクが英国の財務大臣を務めていた4月に英国で税金を収めていないことを批判された。インド国籍のマーシーは、英国で非定住者(non-domicile)の資格を持つため、英国での配当税やキャピタルゲイン税を免除されている。彼女はBBCのインタビューで、広報担当者を通じ、年間3万4000ドルの費用を払ってこの資格を維持していると語ったが、これは、過去9年間のうち少なくとも7年間英国に居住している場合に課される費用という。

フォーブスは、マーシーが2015年から2022年にかけてインフォシスの配当で7000万ドルを稼ぎ、2017年12月の株式売却で1700万ドルを得たと推定している。インドにおける配当金と長期キャピタルゲインの税率は10%だが、英国ではキャピタルゲインの税率が20%で、高所得者が得る配当金には39.35%もの税金がかかる。

つまり、マーシーはインドの低税率を利用して、約2200万ドルを節税をした可能性がある。

世論の反発を受け、彼女の広報担当者は4月、配当金やキャピタルゲインを含む彼女の収入について、「直ちに英国で納税を開始する」と発表した。

マーシーは、タックスヘイブン(租税回避地)として知られるインド洋の島国モーリシャスにある会社を通じて、母国インドにも投資している。

彼女は、モーリシャスに本社を置くImmassociates Mauritiusの100%を所有する英国企業、「インターナショナル・マーケット・マネジメント」の5%の株式を保有している。英紙ガーディアンの調査によると、Immassociates Mauritiusは、ニューデリーでWendy’sを4店舗経営するインド企業Sierra Nevada Restaurantsの50%、さらに、イギリスの有名シェフのジェイミー・オリヴァーのインドのフランチャイズ11店を所有するDolomite Restaurantsの100%を保有している。
次ページ > 英首相の年収は18万5000ドル

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事