だが、アディダスがYe(イェ)ことウェストとの関係を絶つと発表したことを受け、スニーカーヘッドたちの一部では、こうした状況が変わるとの見方が広がっている。
スニーカーボットの開発で知られる英サイバーソール(Cybersole)の創業者、ルーカス・タイタス(20)が2016年、オンラインでの転売で利益を得ようとスニーカーを購入し始めたとき、最初に入手したスニーカーの一つは、イージーの「ゼブラ」だった。
このモデルは、1300ドル(最近の為替レートで約19万円)以上で買い手がつき、タイタスは当時、この金額を「驚異的」だと思ったという。だが、スニーカーのリセール市場の現在の状況は、そのころとは違っている。
タイタスによれば、「いまは、平均50ポンド(約8500円)強の利益が出ればラッキーだ」。それは、「イージーのスニーカーを持っていることの目新しさはすでに失われており、リセールでの価値も低下している」ためだ。
アディダスが近年、多数の新モデルを投入し、人気モデルの生産量を増やしてきたことも、リセール市場に打撃を与えていた。
だが、アディダスが10月25日に声明を公表、ウェストとの提携を打ち切ると明らかにしたことを受け、eBayやストックX(StockX)、グレイルド(Grailed)といったリセールサイトではすでに、イージーの再販価格が上昇する兆しが見え始めている。この声明でアディダスは、ウェストのブランドの全製品の生産を直ちに停止すると発表している。
ヘイト発言とイージーは「別」?
すべてのリセールサイトのデータを集計している米WANTDのリック・ナリアーニCEOは、「リセール市場での取引量が増加し始めている」もようだと述べている。25日午前に最も多く売れたスニーカーのトップ25には、イージーの9モデルが入っていた(前週のトップ25に入っていたのは、6モデルだった)。
eBayでスニーカーを再販しているジョン・ シェーファーは、イージーブースト350「パイレートブラック」など、もう何年も生産されていないようなクラシックなスタイルのスニーカーは、すぐに50%近く値上がりする可能性があると予想する。
シェーファーは在庫品のイージーの「スライド」や「フォームランナー」など、人気のあるモデルはしばらく手元に置き、より高値で売るつもりだ。概して傷むのが早いこれらのモデルは、リセールで2足目を探す愛用者もいるという。
また、別のスニーカーのリセラー、20歳のスティーブン・ユハスも、ウェストとナイキの契約が解消された2013年と同じように、今回もイージーの価格は高騰すると見込んでいる。ここ数年、アディダスが生産と販売を手掛けてきたことで失われていた希少性が、再び高まることになるためだ。
ユハスは、「Yeが完全に“キャンセル”されたとしても、イージーのスニーカーの快適さとユニークさがなくなることは、決してない」とコメント。ウェストの最近の憎悪に満ちた発言が、イージーへの関心を失わせる心配はないと話している。
(forbes.com 原文)