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2022.10.27

欧州のフライト数は改善へ 旅行客の大幅急増が課題

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ユーロスタットによると、欧州連合(EU)における旅客、貨物、郵便物を運送するフライトは、昨年8月からの1年間で25%増加しました。

今年8月の商用便の発着回数は約59万7000回で、2019年8月のパンデミック前の水準を14%下回っています。旅行・観光業界の収益は2020年に4兆5000億ドル減少。レジリエンス(強靭性)と持続可能性を軸に回復を目指す必要があると世界経済フォーラム(WEF)は指摘しています。アジェンダからご紹介します。


欧州では再び航空便が運航を開始するようになったものの、パンデミック(世界的大流行)前の水準には回復していないことが、新しいデータで明らかになりました。

EUの統計局であるユーロスタットによると、旅客、貨物、郵便物を運送する商用便の運航数は、2021年8月から2022年8月にかけて25%増加。新型コロナウイルス感染拡大以前と比較した運航数の差は「徐々に縮まっている」と説明しています。

EUのフライト数は増加傾向


2019年8月、EUの商用便運航総数は69万5912便でした。一方、今年8月の商用便運航総数は59万6930便と14%少ないですが、それでも、パンデミック前の水準からそれぞれマイナス53%と31%だった2020年と2021年と比較すると、大きく改善していることがデータから読み取れます。

EU加盟国のうち、今年8月の商用便の運航数が2019年8月に比べて増加したのはギリシャとルクセンブルクのみ、それぞれ5%と2%増加しました。一方、減少幅が特に大きかったのはスロベニア(42%)、ラトビア(39%)、フィンランド(31%)でした。

EUの一部の空港では商用便の発着数が大きく増減しています。このうち、ギリシャのサントリーニ島の空港では30%の便数増を記録しましたが、イタリアのミラノ・マルペンサ空港の商業便は34%減となりました。

旅行と観光業はレジリエンスの強化が必要


世界経済フォーラムが発表した「2021年旅行・観光開発指数(Travel & Tourism Development Index 2021)」の中で、新型コロナウイルスの感染拡大は、今日の世界の旅行・観光産業にとって最大の危機だと表現されています。

2020年だけでも、ロックダウン、旅行制限、消費者の不安、経済の低迷により、旅行・観光産業は4兆5000億ドルの収益減少に加え、6200万人の雇用を失いました。

旅行・観光業が回復しつつある中、将来起こり得る危機に備えて、より持続可能でレジリエントな環境を構築する必要があると世界経済フォーラムは指摘しています。

この指数は、世界117カ国を対象に、旅行・観光産業の持続可能でレジリエントな成長を可能とする重要な要素を特定しており、欧州とアジアの高所得国が上位を占めていることが分かります。

スペイン、フランス、ドイツ、スイス、英国、イタリアの欧州6カ国がトップ10にランクイン。

ここではビジネス環境、テクノロジーへの対応、航空輸送インフラ、環境の持続可能性など、17項目のデータを比較しています。
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文=Victoria Masterson, Senior Writer, Formative Content

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