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2022.10.28

Netflixが起死回生図る「広告つきプラン」を支えるテクノロジーと戦略

Getty Images

ネットフリックスは、10年ぶりに会員数が減少に転じた今年4月に月額料金を抑えた広告つきプランを導入すると発表した。この決定の前に同社は標準的な月額プランの価格を15.49ドルに引き上げていた。

ネットフリックスは、11月から世界の12の市場(オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、メキシコ、スペイン、英国、米国)で広告つきプランを開始する。広告販売の経験がない同社は、この半年間で広告販売のインフラを構築し、7月に広告のサポートに必要なテクノロジーを開発するために、マイクロソフトとの提携を発表した。

マイクロソフトは6月にAT&TからXandrを推定10億ドルで買収しており、Xandrはネットフリックスがマーケターに広告を直接販売したり、広告をプログラムを通じて購入することを可能にする。ネットフリックスが配信する広告は、マイクロソフトを経由してのみ提供される。

ネットフリックスは、8月に広告営業担当の幹部を採用し、元スナップのジェレミ・ゴーマンとピーター・ネイラーを、それぞれ広告部門の社長と副社長として採用した。ゴーマンはスナップで最高事業責任者を務め、それ以前はAmazon Advertisingでグローバルフィールドセールスを担当していた。ネイラーはスナップで営業VPを務め、それ以前は、Huluの広告部門の上級副社長を務めていた。

ネットフリックスは、リニアテレビと同様に広告をプレロールまたは番組内に組み込んで表示し、当初は、1時間あたり4分から5分の広告を配信する。視聴者は広告の残りの時間を画面上のタイマーで確認できる。ライセンスの関係で、当初は一部の番組に広告が表示されない。

スーパーボウル以上の高額な広告枠


報道によるとネットフリックスは、CPM(広告の表示回数1000回当たりにかかる広告料)が約65ドルという高額な広告料を検討中とされ、この価格はHBOマックスよりも高価で、スーパーボウルの2021年のCPMを上回るという。同社はまた、広告の頻度に上限を設けるために、広告主のコスト上限を1000万ドルから2000万ドルとしている。広告プランの立ち上げに際し、同社は取引先を限定し、クリエイティブの内容を審査すると述べている。

Samba TVの共同創業者でCEOのAshwin Navinは、「ネットフリックスは、ストリーミングの消費者を非常によく理解している」と述べている。「広告つきモデルへの移行を検討しているストリーミング事業者にとってのスイートスポットは、1時間あたり5分以下の広告を提供し、購読料を半額に抑えるモデルだ。このやり方であれば、視聴者をうまく取り込める」

10月初めにネットフリックスはDoubleVerifyとIntegrated Ad Science(IAS)とのサードパーティ・パートナーシップを発表した。この2社は、広告が本物の人間に視聴され、詐欺や無効なトラフィックから広告主が保護されているかを検証する。また、暴力や性的描写など、マーケターが不適切と判断する表現を排除する。
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編集=上田裕資

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