キャリア・教育

2022.10.27 13:00

意外にも苛烈なハワイの教育事情 待つのは名門私立校をめぐるお受験戦争

青い海を眺めて楽しく子育て……は大きな勘違いだった (C)HTA/ Ben Ono

ハワイと聞いて、「海と自然のなかで、子どもはのびのび成長しそう」「日本のような受験戦争もなく、ゆったりと教育できそう」そんなふうに思う人も多いにちがいない。筆者も、日本の「お受験」のレールに自分の子どもを乗せるのが嫌で、ハワイ移住を決意したクチだ。

自身が1970年生まれの団塊ジュニア世代で、何をするのもマスで競争の連続。受験はもちろんのこと、進学や就職のたびに苛烈な競争が存在した。さらに昨今の受験の低年齢化を見るにつけ、この日本のお受験ブームにわが子を巻き込みたくないなと強く思うようになった。

自分自身を振り返れば受験で得たものも無きにしもあらずではあったが、小学校受験程度で幼い子どもが「勝ち組」「負け組」という言葉を使い始めるのを聞いて、こんな年齢から人を見下すようになったら、いまの日本の一部の政治家のように情けない人間になってしまうのではと思い至ったのである。

歴史ある2つのハワイの名門校


運良くというか、39歳で決断してハワイへの移住が叶ったときには、これで日本の受験戦争からはおさらばできた、ハワイの素晴らしい環境でのびのび子育てができると思っていた。「いた」という、あくまでも過去形なのである。

移住してしばらくしてから、ようやく長女に恵まれ、子を持つ親になった途端、それが大きな間違いであることに気づいた。子どもが生まれると、周囲から溢れんばかりの「進学についての情報」が寄せられてきたのだ。

いわく「◯◯幼稚園はすぐに入学予約をして、ウェイティングリスト(順番待ちリストのこと)に名前を入れたほうがいい」「◯◯に入学したいなら、サマースクールに参加しないと」「有名幼稚園に行かせるなら、2歳からどこどこのプリスクールに入れるといい」などなど、さまざまな情報が入ってきたのだ。

実はハワイでは、「3人寄れば美味しいレストランと教育の話題になる」というほど、教育問題は人々の大きな関心事だ。「どこに住んでいるか」「どんな車に乗っているか」などと並んで、「どこの学校に通っているか」がその人の暮らしぶりを見るときの基準となるのだ。当然、名門校に子どもを通わせることが親のステータスの証明ともなる。
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文・写真=岩瀬英介

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