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2022.10.31 14:00

火星からの隕石発見にまつわる1世紀前の謎を科学者が解く


同じ時期の火の玉を目撃した事例の分析が、ラファイエット着陸の時期に関するさらなるヒントをもたらした。隕石は地球の大気に突入する際、加熱されて一条の明るい火が空にあらわれる。1919年11月26日にミシガン州南部およびインディアナ州北部で火の玉の目撃が報告されており、イリノイ州にチルデン隕石が落下した1927年にも報告されている。

パデュー大学のアーキビスト(収集・管理専門家)たちは、1919年と1927年の卒業アルバムを調べ、当時入学した黒人学生を探した。

1921年クラスのジュリウス・リー・モーガンとクリントン・エドワード・ショー、1922年クラスのハーマンズ・エドウィン・フォントリロイは1919年にパデュー大学に入学した。第4の男クライド・サイランスは、1927年にパデュー大学で学んでいた。研究者らは、この中の1人がラファイエットを見つけた可能性があり、1935年のニニンガーの起源にまつわる逸話と一致することを確認した。

「ラファイエットは本当に美しい隕石標本で、これまでの研究を通じて火星について多くのことを教えてくれました」とオブライエンは語る。

「その価値が非常に高い理由の1つは驚くほど保存状態が良いことで、これは落下してからすぐに回収されたに違いないという意味で、ラファイエットの発見物語が示したとおりです。ある程度以上の時間、風雨に曝された隕石は、表面の層が風化し地球の混入物質が付着するため研究価値が下がります」

「ラファイエットの風化に対する迅速な保護と、ぬかるみの中のわずかな時間に付着した混入物の微小な痕跡という不思議な組み合わせによって、この研究が可能になりました。またこれは、無人火星探査車ミッションが数年後に地球に持ち帰る火星の岩石標本を保護することの大切さの有用な注意喚起でもあります」

「隕石が地球に到達してから1世紀後、ついに着地したときの状況を解明し、これまでこの隕石を発見した黒人学生に与えていた称賛以上に真相に近づいたことを誇りに思います。4人の中の1人がそこに居合わせラファイエットの着地を目撃して、パデュー大学に寄贈してくれたことを心から喜んでいます」

共著者でパデュー大学地球・大気・惑星科学学部のメリッサ・トレンブレー博士は「ラファイエット隕石はパデュー大学にとって非常に特別な存在であり、最近10周年を祝ったばかりの惑星科学研究グループが活躍している今は特にそうです」と述べている。

「一連の新たな観察結果は、私たちがラファイエットの起源物語の信憑性を示す上で大いに役立ちました。これをきっかけに史実調査がさらに進み、いつの日かラファイエットを発見した誰かを称賛できることを期待しています」

論文「Using Organic Contaminants to Constrain the Terrestrial Journey of the Martian Meteorite Lafayette」(有機混入物を用いて火星隕石ラファイエットの地球旅行を突き止める)は論文誌『Astrobiology(2022)』に掲載された。本稿の資料はグラスゴー大学から提供された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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