エヌビディアでオムニバースとシミュレーション技術担当のバイスプレジデントを務めるRev Lebaredianは、次のように話す。「我々は、当初から自分たちが単なるチップメーカーではないことを理解していた。我々が行うコンピューティングにとっては、ソフトウェアやスタック全体に対する理解が非常に重要だ」
カリフォルニア州サンタクララに本拠を置くエヌビディアにとって、メタバースを実現するソフトウェアは比較的新しい領域だ。それでも、ピクサーが開発したUniversal Scene Descriptionというフォーマットに基づくOmniverse傘下の3Dコラボレーションツールは、2019年の発売以来20万人以上の個人ユーザーと700社以上の企業に使われている。これらは、同社が最も得意とするチップやハードウェアで動作している。
エヌビディアは、オムニバースの潜在的なビジネス規模について、企業向けソフトウェアの年間売上高が1500億ドル(約22兆円)、チップとシステムのハードウェアの年間売上高が同じく1500億ドルと見積もっている。Lebaredianは、オムニバースの構築には数百人のエンジニアが従事しており、既に数億ドルを投資したと述べたが、詳細については明言を避けた。「これは長期的な取組みであり、我々の投資額は増え続けている」とLebaredianは語った。
メタバースに参入した多くの企業と同じく、エヌビディアもこれらの投資からリターンを得るには長い時間を要するかもしれない。「エヌビディアのビジョンは説得力があるが、関連収益が上がるのはしばらく先だ」とWedbushの株式調査担当シニアバイスプレジデントであるMatt Brysonは指摘する。
Lebaredianは、最終的に勝利するメタバースが企業向けアプリケーションであれ、Web3の非中央集権的な仮想世界であれ、エヌビディアには果たす役割があると考えている。「歴史を見れば、どちらか一方しか勝ち残らないことはなく、両者が組み合わさることになるだろう。いずれの道に進もうとも、我々のコンピュータが使われることになるだろう」とLebaredianは述べた。
(forbes.com 原文)