ビジネス

2022.10.26

ダイバーシティは必要条件 LIXIL社長が描く「誰もが活きる会社」

LIXIL 取締役代表執行役社長兼CEOの瀬戸欣哉


ただ、ダイバーシティはあくまでも必要条件である。D&Iの目的はインクルージョンにあることを忘れてはいけない。

──インクルージョンが目的とは。

瀬戸:数合わせで男女比が半々になっても、重要事項を男性が決めている状態では価値がない。大切なのは、一人ひとりが仲間として認められること。そうでなければ優秀な女性は来てくれないだろう。

コミュニケーションに気を配る


──インクルージョン実現に何が必要か。

瀬戸:優秀な女性から選ばれるには、「働き方の自由度を高めること」が大切だ。具体的には在宅勤務とフレキシブルなワーキングアワーが重要。以前からリモートワークに取り組んでいたが、コロナでリモートの活用が一気に進み、昨年は国内の新卒採用では男女比が半々になった。

女性管理職比率はまだ低いが、若い人にチャンスを与えれば、早期に増加すると思う。注意したいのはコミュニケーションだ。「本当はキミの順番ではないが、女性管理職比率目標達成のために昇進させる」では、働きがいや、やる気が出ず、むしろ居づらくなって離職につながりかねない。「キミが頑張ってくれればほかの女性も輝くチャンスが増える」というように、管理職はコミュニケーションに気を配るべきだ。

──瀬戸CEO自身の働きがいは何か。

瀬戸:CEOは会社という社会のリーダーだ。社会のリーダーに求められるのは、構成員を幸せにすること。幸せの定義はさまざまだが、この会社で仕事をすることが楽しいと思ってもらえれば幸せに近づくはず。僕自身は、その状況をつくることに働きがいを感じている。


LIXIL◎建材・設備機器と住関連サービスを提供。22年3月期の連結決算売上高は1兆4286億円(前年比3.7%増)、事業利益649億円(同13.2%増)、純利益486億円(同47.1%増)従業員数は5万6106人。

瀬戸欣哉◎1960年生まれ。83年、東京大学経済学部卒業後、住友商事に入社。2000年MonotaRo設立。01年に同社社長、12年会長就任。16年LIXILグループ(現 LIXIL)取締役代表執行役社長兼CEO。18年10月に解任されるも19年6月の株主総会でCEOに返り咲く。

文=村上敬 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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