同国史上初のアジア系、過去およそ200年で最年少の首相となるスナクは、エリザベス女王の死去を受け、9月に即位したばかりの国王チャールズ3世が初めて組閣を要請する与党党首ということにもなる。
スナクは東アフリカから英国に移住したインド系の両親のもと、南部サウサンプトンで生まれた。政界入りしたのは、比較的最近だ。保守党内で急速に頭角を現し、2015年の総選挙で、ノース・ヨークシャー州リッチモンド選出の下院議員となった。
国会議員となった後は、EUからの離脱(ブレグジット)を支持した。2018年に住宅・コミュニティ・地方自治省の政務次官となり、2019年からは、財務担当の首席政務次官を務めていた。
新型コロナウイルスのパンデミックが発生する直前の2020年に財務相に任命されたスナクは、感染対策として政府が実施したロックダウン中に構築した経済支援スキームで広く認知されるようになるとともに、多くの国民の支持を獲得した。
いずれボリス・ジョンソン首相(当時)に代わって保守党を率いることになるのは確実と見られるようになったスナクだったが、その後に打ち出した政策が不評を買ったほか、ロックダウン中に閣僚や政治家たちがルールを破り、パーティーを開いていたことが問題になったスキャンダル、いわゆる「パーティーゲート」に関与したとして、人気が急落した。
さらに、妻でインド系のアクシャタ・ムルティが非定住者であると申告していたことで数百万ポンド(数億円)の課税を免れていたことが報じられことも、スナクの不人気に拍車をかけた。
フォーブスの富豪ランキング「リアルタイム・トラッカー」によると、アクシャタの父、インドのIT大手インフォシスの共同創業者であるナラヤナ・ムルティの資産額は、10月25日現在、推定45億ドル(約6700億円)となっている。