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経済・社会

2022.11.08 09:30

ウクライナ侵攻は経済、金融商品にどう影響したか

Getty Images


戦争時の質への逃避(Fight to quality)は発生したのか


戦争などの緊急時には投資資金はクオリティの高い安全な金融商品に向かう、つまり、「質への逃避(Fight to quality)が発生すると言われてきました。
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現状において世界的に質が高い資産は米国債だと思われます。先ずは米国債の価格推移を見てみましょう。

【米国債(10年債の利回り推移)】

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出典:https://www.tradingview.com/chart/JwUHMcpq/?symbol=TVC%3AUS10Y
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ロシアによるウクライナ侵攻以降、米国債には売り(金利の上昇)傾向が続いています。こうした動きは「質への逃避」以上にインフレ圧力が強いためと見られます。

2022年6月頃に若干米国債が買い戻される動きがありましたが、これはポジション調整の売りだったと考えられており、長続きはしませんでした。

つまり、「質への逃避」の動きを狙って米国債の値上がりを期待して米国債を保有することはおすすめできる状況にはありません。

原油価格はどのように変化しているのか


戦争によるエネルギー供給の懸念から原油価格が上昇することが考えられますが、実際はどのような動きをしているのでしょうかだろうか。

WTIはWest Texas Intermediateの略称で、米国の西テキサス地方で産出される硫黄分が少量でガソリンを多量に取り出すことができる高品質な原油のことです。WTIの先物がNYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)で取引されています。

下図のチャートを見るとウクライナ侵攻直後は価格が急上昇しました。しかし、世界的な原油高に対する産油国(OPECプラス)による2022年7月いっぱいまでの減産調整の影響もあり、足元の原油価格は落ち着きを見せています。

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出典:https://www.tradingview.com/chart/JwUHMcpq/?symbol=MATBAROFEX%3AWTI1%21

ウクライナ侵攻が落ち着けば、原油価格は下落する可能性があります。しかし、ロシアの予備役召集の動きを見る限りでは、さらに紛争は長引きそうです。したがって、先行きの不透明さから原油を投資対象にすることも簡単ではなさそうです。

金の相場はどのように変化したのか


有名な安全資産としては金も挙げることができます。金の価格はどのように推移しているのしょうか。

【金と米国株式の価格推移】

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出典:https://www.tradingview.com/chart/JwUHMcpq/?symbol=TVC%3AGOLD

ロシアによるウクライナ侵攻直後は急激に金の価格も上昇しましたが、現在では落ち着きを見せています。新型コロナ感染症が拡大した2020年以降、金価格は上昇トレンドを示してきました。

そこにウクライナショックが加わり、金価格はさらに上昇したのですが、ドル相場と金相場は逆相関にあると言われています。米国の利上げによりドル高となると金価格が低下するため、足元では金価格は下落傾向にあるといえます。

また、ロシアはアルミニウムなどの非鉄金属の一大産出国でもあります。非鉄金属の価格も世界的な供給不測の懸念から価格が上昇していました。しかし、西側諸国の経済制裁により経済活動は停滞しています。

こうした環境下において足元では非鉄金属の価格も下落傾向でしたが、供給体制が安定すれば価格が上昇傾向に戻ることは、レアメタルの希少性は不変なので、容易に予想できます。

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出典:https://ecodb.net/commodity/group_metal.html
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編集=石井節子

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