ファーストリテイリング副社長、リヴァンプ創業、ファミリーマート社長など華々しい起業・事業経営実績を持つ澤田貴司(さわだたかし)氏が代表に就任し、話題を集めている。今回は澤田氏が考える起業家の素養、事業経営のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全4話中4話)
第一話:ファミマ社長、ファストリ副社長を歴任 澤田貴司が語る、名経営者の共通点 #1
第二話:ユニクロ「フリース」大ヒットに学ぶ、マーケティングの本質 #2
第三話:ロッテの投資会社代表が語る、スタートアップと大企業の連携に必要なこと #3
──改めて、ロッテベンチャーズ・ジャパン立ち上げ、代表就任の経緯についてお聞かせください。
私が代表になる話を頂戴したのはロッテホールディングス代表である重光昭夫さんからです。重光さんとの出会いは、2000年ごろのユニクロ韓国進出交渉にまでさかのぼります。
私がファーストリテイリングの副社長で、重光昭夫さんがロッテ側の担当でした。最初は交渉相手として面会しました。そのご縁をきっかけに、私がユニクロ退社後も重光さんからはクリスピー・クリーム・ドーナツ共同創業やロッテリアの経営改革、ロッテ免税店創業など、ずっとチャンスをいただきました。
重光さんを私はとても尊敬しているのですが、彼のすごいところは「挑戦への貪欲さ」にあると思います。
韓国におけるロッテのプレゼンスは日本と比べるとはるかに大きく、流通、ケミカル、ホテル、エンタメ、金融などなど、さまざまな事業を展開しています。今日、韓国においてこのようなコングロマリット企業が生まれたのも重光さんの、常に市場を見つめ伸びて行くと判断したところに経営資源を積極的に投下してきた貪欲さの賜物だと思っています。
一方で日本におけるロッテといえば「お菓子」のイメージ。そのブランドがあること自体は素晴らしいことですが、韓国の状況と比べると成長速度は遅いと感じています。
重光さんの「日本市場でもこのままの状況でとどまるつもりはない。もっと多様化・活性化し、素晴らしい社員とともに貪欲に新しい挑戦がしたい。韓国での成功を日本でもどんどん展開したい」という想いに私は共感し、ご一緒することを決めました。
4月に着任したばかりなのでまだまだこれからではありますが、韓国の事例からも謙虚に徹底的に学び、新たな投資や協業をロッテベンチャーズ・ジャパン発信でどんどんと実施出来ればと考えています。