相場が盛り上がる前からリサーチし準備しておくことが大切
城戸:暗号資産も他のアセットと同じで、インフレに引っ張られているのは確かなのですが、外部環境が変われば、ベンチャーキャピタル(VC)などからの投資資金が再び活発になるはずです。そのとき、どこに投資すべきなのか、投資先を探しているというのが現状のフェーズではないかと思っています。
HashHub Researchマネージャー城戸大輔氏
今、暗号資産の時価総額が約1兆ドルです。コロナショックで暴落したときは、大体3000億ドル弱でしたから、あのときに比べれば3.3倍ぐらいはある。
この先、金融引き締めがいつまで続くのかわからないので、まだ下がる可能性はあるのですが、VCの投資活動はそれほど衰えてはいません。アラメダリサーチが代表的だと思いますが、有望なブロックチェーンの企業やプロジェクトに多額の出資を行っていて、次の大きな成長を見込んだ種まきをしています。
2020年にはDeFiサマーと呼ばれるDeFi関連のブームが起こり、21年はNFTサマーと呼ばれました。22年はレイヤー2が来るといわれていましたが、それは少し外れてしまった。じゃあ、次に何が来るのか。
ブームが来てからではバスに乗り遅れるので、その前にどういうところにチャンスがあるのか、どこにチャンスの芽があるのかを探す、少なくとも関心を持って見ておく時期ではないかと思います。
──確かに、気が付いたら特定のコインが盛り上がっていたということはありますよね。そうなってからでは遅くて、盛り上がったときに売るくらいの先見性がなければならないということですね。
城戸:そういう情報は、狭いコミュニティの中で、情報交換が個人レベルでされていたりするんですよ。DeFiサマーにしても、暗号資産に詳しい人はかなり早い段階から「これはかなりのムーブメントになるよ」とか話していましたね。ですから、アンテナを張っていれば情報を入手することは可能だと思います。
メタバースは企業の成長性が期待できる領域
──今、注目しているクリプトを使った技術やサービスは、何か具体的にありますか。
城戸:メタバース上でのNFTの販売などは、企業が新たなマネタイズの場所として注目していますよね。NFTをきっかけに巨大な資本が入って、ちゃんと投資をしていくと、メタバース世界の成長が早くなるでしょうし、今後、人々はメタバースを活動の拠点にしていくようになっていくかもしれない。
例えば、今、友達と実際に会う機会が減り、仕事もオンラインで済ますことが増えましたが、ひょっとすると、メタバースで友人と会い、さまざまな活動もメタバース上で行う時代が来るかもしれない。
メタバースといっても、今は現実感がないかもしれません。しかし暗号資産の技術とともにハードウェアの発達も別に進んでいくはずで、それによってメタバースでの没入感、リアリティもどんどん向上していくはずです。
そのあたりは、ハードとコンテンツの発達で急速にスマートフォンが普及したのと同じで、急速にメタバースが普及し、社会を変えていくのではないかと思っています。