米国人を監視するTikTokの中国部門
バイトダンスの内部監査・リスク管理チームは、TikTokと同社の従業員について、利益相反や会社のリソースの不正利用などの違反行為や、機密情報の漏洩について、定期的に監査や調査を行っている。フォーブスが閲覧した内部資料によると、TikTokのCEOであるShou Zi Chew(周受資)を含む上級幹部は、同チームに個々の従業員の調査を命じ、従業員が退職した後も調査を行ったことがある。
さらに、バイトダンスの社内管理ソフト「Lark」の記録によると、内部監査チームは「グリーンチャンネル」と呼ばれるデータ要求システムを用い、米国内の従業員に関する情報を中国本土から引き出している。
特定の米国人ユーザーを監視するためにアプリの利用を検討したハイテク大手はバイトダンス以外にもある。2017年にニューヨーク・タイムズ(NYT)は、ウーバーが当局の処罰を避けるために政治家や当局の担当者に、別バージョンのウーバーアプリを提供したと報じた。当時、ウーバーは「グレイボール」と呼ばれるプログラムを実行していたことを認めたが、「ドライバーを陥れることを目的とした秘密の『おとり捜査』で役人と結託する集団」などの乗車を拒否するために使用したと述べていた。
さらに、ウーバーとフェイスブックの両社は、同社を取材するジャーナリストの位置情報を追跡したと報じられている。電子プライバシー情報センターによる2015年の調査で、ウーバーが同社を取材するジャーナリストの位置情報を監視していたことが判明した。2021年の書籍『An Ugly Truth』も、ジャーナリストの情報源を特定するために、フェイスブックが同じことをしたと主張している。
「プロジェクト・テキサス」と呼ばれる取り組み
しかし、バイトダンスが計画中のユーザーの情報収集が、これらのケースと異なる重要な要素がある。TikTokは最近、特定の米国ユーザーデータ(おそらく位置情報を含む)へのアクセスは、「米国政府と共に開発中のプロトコルに従って、権限を与えられた担当者のみに限定される」と議員らに語った。
これらの取り決めは、「プロジェクト・テキサス」と呼ばれる取り組みの一部とされる。TikTokは内部システムを再構築し、中国にいる従業員が、米国のユーザーの電話番号、誕生日などの保護された個人情報にアクセスできないようにする大規模な取り組みを行っている。この取り組みは、バイトダンスとCFIUSとの国家安全保障に関する交渉の中心となるものだ。