1988年のソウル夏季五輪の際、日本の名古屋も立候補して争った。日本では、東京夏季五輪を巡る汚職騒ぎのなか、釜山が万博開催を狙う2030年に札幌冬季五輪の開催を狙う動きも続いている。来年は、岸田文雄首相のお膝元の広島で主要国7カ国首脳会議(G7サミット)を開催するため、外務省を中心に準備が進行中だ。サミット開催時には、外務省職員だけで約400人、警備も含めれば1万人規模の要員が投入される見通しだ。
国際イベントを開くのが悪いわけではない。G7サミットも各国持ち回りで、日本ばかりが開催しているわけではない。でも、この政府関係者に言わせれば、「日本が開く国際イベント」には、明らかな特徴が一つあるという。それは「日本人目線のイベント」だという点だ。
今年のサミットは、ドイツ南部バイエルン州のエルマウ城で開かれた。昨年は、英国・イングランド南西部のコーンウォールが会場だった。風光明媚という点では、日本の洞爺湖や沖縄、伊勢志摩などのサミット開催地と共通点がある。ただ、今年のG7に参加した関係者によれば、首脳配偶者が参加するツアーはあったものの、首脳たちに限れば、夕食会でドイツらしい音楽が流れた程度で、あとは外交に専念するビジネスライクな状況がつくり出されていたという。
日本の場合は、これに街おこしが加わる。2000年の沖縄サミットでは安室奈美恵がテーマソングを歌い、2千円札が発行された。2016年の伊勢志摩サミットでは、平井堅が公認サポーターになって応援ソングを歌った。G7ではないが、1995年に開かれた大阪APECでは、横山ノック府知事らが海外の記者たちに「サムライボール」と称してたこ焼きを振る舞った。2008年12月に福岡県で開かれた日中韓首脳会議の夕食会には、県知事や県議会議長、地元市長らが招かれた。
先日の安倍晋三元首相の国葬でも、「日本人目線」が目立った。約4300人のうち、海外から200以上の国や地域、国際機関などから計700人ほどが参列した。ただ、国葬を巡って国内で様々な意見が噴出したため、海外の参列者の席順や動線が直前まで決まらなかった。追悼の辞も岸田首相のほか、衆院議長、参院議長のあいさつが長々と続いた。関係者の1人は「国内の事情を優先というのであれば、弔問外交をことさら強調すべきではなかった」と語る。
「国際的なイベントで街おこし」という発想では、日本と韓国は似た者同士なのかもしれない。
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