行政を電子化し「電子国家」とも呼ばれるIT先進国エストニアで自動運転車を開発するスタートアップ企業Auve Techは、2020年に世界で初めて水素燃料の自動運転車両を開発して注目を集めた。BOLDLYはそのAuve Techと提携し、同社製小型バスの日本仕様車を開発して、日本の公道での移動サービス開始を目指す。
日本仕様のMiCaは、7台のLiDARと8台のカメラを使った障害物自動回避機能、1時間で満充電が可能な急速充電能力、ある程度の積雪や豪雨にも対応できる最新のセンサーとソフトウェアを搭載する。さらに、車両サイズは日本の道路事情に合わせて小型化され、安全に関わるシステムは二重化される。自動運転レベル4対応なので、条件付きでドライバーを乗せずに運用できる。
BOLDLYは、自動運転の実証実験を国内外で120回以上行ってるほか、すでに茨城県境町の公道と東京の羽田空港に隣接する大規模複合施設HANEDA INNOVATION CITYの敷地内で自動運転バスを運行中だ。そこでは、自動運転バスの運行管理システム「Dispatcher」(ディスパッチャー)が導入されている。遠隔で人が走行を見守り、もしもの場合にオペレーターがドライバーの代わりを務めるというものだが、そのシステムがMiCaにも導入される。
自動運転車の世界では、自動車産業では馴染みが薄かった国やスタートアップ企業が活発に交流し、新しい枠組みを作り始めている。既存の大手自動車メーカーは危機感を覚えるかも知れないが、一般ユーザーとしては、今後がとても楽しみだ。
文 = 金井哲夫