全米企業エコノミスト協会(NABE)が24日に発表した調査結果の中で経済専門家が警告している。米連邦準備制度委員会(FRB)がインフレの進行や差し迫った失業の恐れの高まりに苦慮するなか、相次いでいる悲観的な予測の最新版だ。
NABEの10月の景況調査では、経済専門家のほぼ3分の2が米国はすでに景気後退に陥っているか、1年以内にそうなる可能性が高いと考えている。
10月3日から10日にかけてNABE会員55人を対象に行った調査によると、回答者の半数以上が今後12カ月以内に米国が景気後退に陥る可能性は50%を超えるとした。
そして景気後退の原因として特に懸念しているのは売上の減速、利益率の縮小、コスト(特に賃金)だ。
NABEによると、調査で前四半期に利益率が縮小したと答えた人は、縮小していないと回答した人よりも2020年半ば以来初めて多くなったという。
また、直近の3カ月で売上が増加したと回答した人と売上が減少したと回答した人の差も縮小し、2020年半ば以降、最低水準となる8ポイント差に低下した。
回答者は次の四半期も利益率の縮小が続くと予想しているが、売上高に関しては増加すると予想している人の方が多い。
解雇や高水準の失業への懸念は景気後退と密接に関係している。多くの企業がすでに解雇や雇用凍結で人員調整を始めており、インフレ抑制のためには労働市場の不振が必要だとFRBは考えている。
調査では、3分の1が過去3ヵ月間に自社の雇用が増加したと回答し、7月に行われた前回調査の38%から減少している。次の四半期に従業員数の増加を見込んでいるのはわずか22%で、前回調査(24%)からわずかに減少し、1月の調査(50%)の半分以下だ。回答者の3分の2は前四半期に自社で賃金がアップしたと答えたものの、今後3カ月で賃金が急激に下がり、2021年4月以来の最低水準に達すると予想している。
この調査は、米国経済に対する悲観的な予測としては最新のものとなる。インフレ率は過去40年間で最も高い水準の8%前後で推移しており、FRBはコントロールを取り戻すために積極的な利上げ政策を進めている。
米国だけでなく多くの国がそれぞれに経済的苦境、記録的なインフレ、生活費の危機に直面している。国際通貨基金(IMF)は来年の世界経済の見通しを下方修正し、世界銀行は中央銀行が高インフレ対策に動くなかで世界同時不況の「真の危険」があると警告した。
景気を左右する要因は多々あるが、ロシアのウクライナ侵攻と新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響が立て続けにあったというダブルパンチが主要な要因となっている。
(forbes.com 原文)