ビジネス

2022.10.27 15:30

「琥珀が人を幸せにする」 山野幹夫が見る未来|クレイ勇輝

琥珀の可能性を信じてビジネスを展開


クレイ:ところで、琥珀は何に一番効くんですか?

山野:肌です。当社では琥珀に関する特許を約20個取得していますが、そのうち半分以上がお肌に関する特許です。今後は健康に関する分野の特許もどんどん取得していきたいなと考えています。

琥珀って1万個も分子を持つ物質なんです。だから無限大の可能性が秘められていると僕は思っています。そのため、すでに解明できている成分を活用した商品の開発もしながら、同時に、まだ発見していない成分や効果を探るための研究を常に続けています。

世界でも琥珀の効果に関するエビデンスはほとんど取られていないので、当社でちゃんとエビデンス取って、食品として特許を取った商品を販売していくことはものすごく価値があることです。グローバルな視点から見ても、とても意義があるはずです。

クレイ:ほかにはない圧倒的な商品を開発する、まさにスモールジャイアンツな会社になるということですね。幹夫さんは山野愛子さんがつくった会社の3代目ですよね。すでにどろんこ美容で成功していたなか、新たに琥珀でビジネスを始めるとなると、社員の方々の反発もあったはずです。どうやって会社の人たちを巻き込んでいったのですか?

山野:それも苦労した部分でした。琥珀で化粧品や食品をつくると言っても、誰も理解してくれません。「うちの社長、大丈夫なのだろうか」と心配した社員もいました。そこで、ロシアの療養所は昔から琥珀が民間療法的に使われている話や、研究の内容などを説明しながら、琥珀にいかにチャンスがあるかを伝えたんです。僕が琥珀のポテンシャルの高さを信じているように、社員の皆さんにも、どうにかして僕と琥珀に魅力を感じてもらいたかった。

すると次には「どろんこ美容をやめて琥珀に舵を切るのか」心配する声が出てきたんです。そこで僕もいろいろ考えて、どろんこ美容と琥珀の商品を掛け合わせることにしたんです。というのも、泥パックには汚れを落とす作用があります。一方で、琥珀には肌を再生する作用があるんです。そこで、泥パックで肌のお掃除をしたあと、琥珀で美しい肌をつくっていく、というコンセプトのセット商品を考えたんです。いまのビジネスを否定するのではなく掛け算にすることによって、社員の不安を解消しました。いまでもその商品は一番売れています。

クレイ:経営者としてすごく鍛えられそうな経験ですね。

山野:そうですね。やっぱり、周囲の反対があったり、世の中の人に琥珀の魅力を理解してもらえなかったりしたときに、自分を支えてくれたのはエビデンスでしたね。

はじまりは、「絶対にほかの人はやっていないだろうな」という好奇心だけでした。もしかしたら研究をしても何も出てこないかもしれない、という不安もありました。でも、やっぱり琥珀にかけてみよう、と信じた自分がいたんですよね。

これまでの約20年のあいだに、研究がうまくいかなかったり、お金がなくなったり、何度も心が折れそうになってやめようと思ったときがありました。どうやって不安を乗り越えるかというと、自分を信じるための要素を増やしていったんです。何がその要素になるかというと、僕の場合は研究を続けてエビデンスをとることだった。少しずつではありますが、確実に成果は出ています。最近では、琥珀のエキスを使った美容ドリンクの開発にも成功しました。


琥珀のエキスを使った美容ドリンク「ホワイトアミノ」「コラーゲンプロテイン」

僕の一番の理想は、予防医学の分野で琥珀を使えるようになることです。これはまだ希望的観測の域ですが、三大疾患を予防する成分が含まれていたらいいなと期待しながら、研究を続けています。



クレイ勇輝 1980年、新潟県生まれ、神奈川県逗子育ち。2005年以降、音楽ユニット「キマグレン」、海の家の経営者、実業家といった多岐にわたる活動を経て、現在は事業家、アーティスト、プロボクサーとして活躍中。

クレジット
text by Ayano Yoshida | photographs by Masahiro Miki | edit by Yasumasa Akashi

photographs by Masahiro Miki | edit by Yasumasa Akashi

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