経済・社会

2022.10.25 08:15

ジェンダーと年齢で見た、米国のTV・ストリーミング業界

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テレビ番組とストリーミングサービスの番組では、女性キャストの出演が、およそ40歳を境にぐっと減ることが、新しい調査報告で明らかになった。また、そうした番組を裏で支えるスタッフも、女性は極めて少数派であり、特に女性監督が少ないという。

この調査報告を2022年10月18日に発表したのは、サンディエゴ州立大学テレビ・映画女性研究センターでエグゼクティブディレクターを務めるマーサ・ローゼンだ。調査報告をまとめるにあたっては、コメディ、ドラマ、リアリティ番組の出演者3000人以上と、番組を支えるスタッフ3800人以上を調査した。

その結果、テレビ番組に出演する女性の割合が、30代から40代に上がると激減することがわかった。実際、女性が主要キャストに占める割合は、30代は42%だったが、40代では15%と大幅に減っている。ストリーミングサービスの番組についても、同様の減少傾向が見られた。女性の年齢が60代に上がると、主要キャストに占める割合はたったの3%だ。

男性も同様に、年齢が上がるにつれて割合は減少している。それでも、60歳以上の男性が主要キャストに占める割合は、女性の2倍だ(テレビ番組は6%、ストリーミングサービスは5%)。また、30代と40代を比較した場合の減少幅は、女性より小さい。テレビ番組で男性が主要キャストに占める割合は、30代が35%、40代が28%と、わずかに減っただけだった。

こうした年齢とジェンダーによる相違に関して、ローゼンはメールでこう述べている。「こうしたことに気がついている視聴者はほとんどいないと思う。あまりにも時代遅れのジェンダー的ステレオタイプであり、テレビと映画の両方でいまだに見られることに、いつも驚かされている。さらに、私がこうした調査を始めた20年前から、結果が一貫して変わっていないことも気になる。この数字は、毎年ほとんど変わっていない」

また、ローゼンはプレスリリースで次のように述べている。「現実の世界では、女性は40代にさしかかると、公私両面で実力がついてくる。にもかかわらず、テレビでも映画でも、女性キャストが減り始めるのはまさに40歳だ。メディアに蔓延するイメージのせいで、ジェンダーと年齢に従って姿が見られなくなる状況が定着している。女性は若さと美しさに、男性は実績をもつことに価値が置かれるようになっている」

年齢バイアスに直面しているのは、俳優業の女性だけではない。労働市場全体を見ても、一般的には男性より女性のほうが年齢による差別を受けていることが、さまざまな研究で明らかになっている。

ある研究では、求められるスキル水準が低めと中程度の求人について、面接に進んだ割合を検証した。その結果は予想どおりで、年齢によって面接に進んだ割合が減少する幅は、男性より女性のほうが大きいことがわかった。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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