グッチはこのほど、ロンドン発のストリートウェアブランド「Palace Skateboards(パレス スケートボーズ)」とコラボレーションした「パレス グッチ」コレクションを発表。そのローンチに合わせ、グッチの実験的なオンラインスペース「VAULT(ヴォールト)」が現実空間に進出している。
Courtesy of Gucci
グッチの一部店舗や、パレスのロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスなどの直営店にVAULTのポップアップがオープン。グッチのクラシックな「ホースビット ローファー」や「ジャンボ トート」にパレスのモチーフをあしらった製品や、パレスの定番をグッチ仕様にした製品など、コラボアイテムを取り揃えている。
パレス グッチコレクションは、VAULTの母艦であるオンラインストアでも同時にドロップされた。グッチのNFT(非代替性トークン)「SUPERGUCCI」や「Gucci Grail」の所有者は、VAULTがボイスチャットサービス「Discord(ディスコード)」に開設しているチャンネルを通じて、一足早く10月14日から製品を注文できるようにしていた。
グッチはさらに、次のメタバース関連プロジェクトとして、VAULTが今月27日、「この未知の領域におけるアイデアや貴重もの、思いがけない出会いの宝庫」を開放するとも発表している。
これは、かねて待ち焦がれているメタバース「Sandbox(サンドイッチ)」デビューのことを指しているのかもしれない。グッチは今年2月にSandboxの土地を購入し、その際「VAULTをベースにしたインタラクティブなファッション体験」を提供すると約束していた。
グッチはこのほか、5月にはオンラインゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」にバーチャル広場「Gucci Town」を開設し、厳しい課題をクリアしたプレーヤーがアイテムを購入できるようにもしている。
いずれにせよ、最近のグッチに関して何より印象的なのは、同社が従来のビジネスをWeb3と連携させていくにあたって、実に緻密なアプローチや考え方をしているという点だ。
グッチは創業100周年にあたる2021年にVaultを立ち上げ、それをメタバースにおけるグッチの「使者」の役割を果たすものと位置づけている。VAULTは、アーカイブセールやコラボレーションコレクション、NFTプロジェクトが織りなすWeb3上のフィジタルな網のような存在と言える。
VAULT部門を率いるロバート・トリファスは、引き続きグッチの企業・ブランド戦略担当の上級副社長を務めつつ、社内に新設されたメタバース・ベンチャーズ部門の責任者も兼任する予定だ。
(forbes.com 原文)