2023年10月からスタートするこの制度。売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額などを伝えるもので、請求書に必要事項を記載する必要があるため、インボイス発行事業者の登録申請が必要になっている。
制度開始からインボイス発行事業者となるためには、2023年3月31日までに登録申請が必要で、あと半年を切っているにもかかわらず、この低い理解率というのはマイナンバーカードの普及同様、低空飛行でのスタートとなる可能性もある。
ただ、この制度は特に現状売上が1000万円以下の免税事業者にとって、必然的に課税事業者になるだけに判断が難しいところだ。インボイス制度の内容を知っていると回答した個人事業主も、「反対」が47.1%、「どちらともいえない」というのが39.1%で、「賛成」と答えたのはわずか4.4%と制度そのものに不満を抱いている人が多いことが伺える。
一方、買手側にあたる法人事業者にとってはインボイス発行事業者ではない取引は、仕入税額控除を受けられなくなるため、できればインボイス発行事業者との取引を望むことになる。免税事業者に対して課税事業者への変更依頼は約6割弱に上り、特に製造や商社、IT系など下請け会社との鳥人が多い業種が多いという結果になっている。
ただ、経過措置によりインボイス発行事業者ではなくても、一定の条件を満たせば仕入税額の一部控除を受けられる。このことについて、法人経理担当者へのアンケート調査では、24.2%しか認知されておらず、このあたりの認知度のアップも急務の課題と言えそうだ。
インボイス発行事業者になるかならないかは任意だ。ただ、インボイス発行事業者であるか否かで、取引の線引きにされてしまうとかなりの痛手となる。政府はインボイス制度を導入するメリットをもっと理解されるよう努力をしてほしいものだ。
文=飯島範久