PLOS Oneに掲載された新しい研究で、研究者はボランティアに画面上の一連の展示物をどのように見てもらったかを説明している。ここでの展示物は、大英博物館の収蔵品をもとにしたもので、バーチャルデモでは、参加者が好きなだけ詳しく見られるように、対象展示品を回転・ズームさせることができるようになっていた。
このバーチャル博物館の展示物を見る際に、音によって鑑賞体験が変わるかどうかを検証するために、表示の際にさまざまな種類の音が添えられた。対照群として、音の出ない静かな環境を与えられた人もいた。ある被験者グループには、博物館の典型的な背景音が与えられた。また展示物に関連した、さまざまなカスタムサウンド効果音による体験が与えられたグループもあった。1つのグループは合成音、もう1つのグループは国際情動音データベース(IADS、International Affective Database of Sounds)から特定の感情に関連する音を聴いた。
バーチャル展示物のミニツアー終了後、参加者はそれぞれアンケートに答え、どのような感情を抱いたか、展示物へどの程度惹きつけられたかを評価した。
そこで報告された感情に関していえば、バーチャル展示中に流された音による違いはそれほど大きくはなかった。しかし、惹きつけられ方にはいくつかの顕著な違いがあった。展示物からインスパイアされたカスタムサウンド、IADSサウンド、合成サウンドは、いずれも無音や博物館の通常の背景音と比較して、より強く惹きつける効果を持っていた。
これは、バーチャル展示を展開する博物館などにも有効だろう。背景音を加えるだけで、展示物へ惹きつける力を簡単に高めることができるのだ。なお、研究者は「背景音はオプション設定にしたほうがよい」と注意を促している。なぜなら、そうした背景音にイライラする人もいることが回答から示唆されたからだ。
しかし、適切な背景音があることで、バーチャル展示に興味を持つ人が増え、博物館が新しい観客を獲得するのに役立つかもしれない。
(forbes.com 原文)