道筋3 デジタル化と顧客体験を「階段式」に交互に繰り返す
顧客体験と業務効率の両方を向上させる必要がある企業は、このルートを選択することができる。このような「階段式」アプローチをとる理由の1つは、デジタル革命が自分たちを追い越してしまうかもしれないという認識だ。ウォーナーとその共著者は「この方法は、最も一般的な方法です。なぜなら、小さくても目に見える改善を行うことが、多くの企業にとって非常に理にかなっているためです」と指摘する。
だが同時に、この方法をとる企業は「平均よりやや低い業績にも関わらず、驚くほど高いリスクを負う」ことになると彼らは警告している。そして「(組織は)短いデジタル化の範囲を決め、それを完了させ、そこで得られた成果が次のデジタル化ステップに渡されるように、階段状の各活動の価値を持続させなければならない」と助言している。
道筋4 事業の方向転換に悩まず、デジタルネイティブな事業部門を新たに立ち上げる
この方法は、歴史の古い企業が追求する可能性がある。なにしろ、元の企業文化がデジタルによる成長を行うためにはあまりにも硬直的だからだ。「この道筋は、単なるイノベーションプロジェクトの1つではなく、その企業が将来的にどのように収益を上げるかに対する価値ある投資なのです」と、ウォーナーらは指摘している。まったくの初めからデジタルネイティブな企業構築が可能だ。最終的に、分離したユニットが市場で支持を受けるようになれば、母艦とまた合流することになるだろう。
理想的には、このような独立した新規事業を立ち上げたとしても、残った本社自身も上記の3つの道筋の要素を取り込むことができる。著者らは「たとえば、保険会社が自社のコアビジネスをデジタル化し、保険金請求を自動化して顧客体験を向上させることができます。同時に、新しいエコシステムのビジネスモデルを持つユニットを作り、集客力の高いホームセキュリティの窓口となって、企業の保険商品とセキュリティ商品を統合することも可能です」という。
著者らは、トランスフォーメーションの取り組みを成功裏に進めている組織には、いくつかの共通点があることを発見した。それは、そうした組織は指揮統制的な階層構造ではなく、「コーチとコミュニケーション指向」を発展させていること。そして製品間の統合と顧客体験に焦点を当てていて、あらゆるレベルでイノベーションを促進するために最善を尽くしていることだ。
(forbes.com 原文)