歴史的に、米国で学ぶ留学生の大半は中国人留学生だ。彼らは米国の大学にとって「儲かる」学生だった。2015年の公立大学の全学生数における留学生の割合は平均12%にすぎなかったが、留学生が払う授業料は年間授業料収入の28%を占めた。
中国人留学生の減少は、新型コロナのパンデミック時に中国政府が導入した制限によるところが大きいが、米国や欧米に対するより広範な意味での意識の変化を示している。
2021年に行われた中国の世論調査では、回答者の33%が米国について「非常に好ましくない」と答え、さらに29%が「好ましくない」としている。ただし、米ブルームバーグは米国への留学や旅行経験のある中国人の米国に対する認識とは大きな差があり、中国政府によってかなり統制されている中国のメディアが、米国に対する否定的な認識にある程度の影響を及ぼしていると指摘している。
米シンクタンクのピュー研究所が2021年に行った調査によると、米国人の89%が中国を競争相手または敵と考えている。米国市民の間に渦巻く中国に対する印象の悪さに加え、パンデミックを受けて米国の大学キャンパスで中国人留学生が直面している偏見の高まりも、中国人留学生が米国以外の国で高等教育を受ける一因になっている可能性がある。
人権、貿易、領土問題などで対立し、すでに緊張状態にあった米中両国は、ドナルド・トランプが大統領に就任して中国からの輸入品にかなりの関税を適用してさらに緊張が高まった。また、新型コロナの大流行は中国のせいだという非難があり、両国の外交関係はさらに緊迫したものとなった。米下院議長ナンシー・ペロシの8月上旬の台湾訪問は、米中間の緊張がすぐにはほぐれないことを示した。物議を醸したペロシの訪問は南シナ海での中国の軍事演習につながり、中国国営メディアは軍事演習について米国と台湾の友好関係に対する不吉な兆候として放送した。