鉄道運営会社ロンドン・ノースイースタン鉄道(LNER)のために、英国に焦点をあてて実施された研究によれば、今秋の行楽で1回の旅程だけでも移動を鉄道に切り替えれば、交通から生じる総炭素排出量を28.4%削減できるという。また、1年間で見ると、行楽目的での交通によって生じる総排出量を16.6%削減できる可能性があるとされている。
世界保健機関(WHO)による別のリポートでは、都市在住者の5人に1人が、1日あたり1回の移動を自動車から自転車に切り替えるだけで、欧州における交通由来の総排出量を8%削減できると報告されている。
10月13日に発表されたLNERのリポートは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)エネルギー研究所の専門家チームにより作成された。自動車の炭素排出量は、平均すると、鉄道の排出量の3倍にのぼる。そのため、「小さな変化が結集した威力により、極めて大きな変化になる可能性がある」とLNERは述べている。
UCL持続可能資源研究所のポール・イーキンス(Paul Ekins)資源・環境政治学教授は、次のように述べている。「気候変動については、氷山融解や海面上昇といった大きなスケールで語られることが多い。そのせいで、圧倒的で手に負えない問題という印象が生まれ、日々の暮らしのなかで効果のある変化を起こす意欲がくじかれている」
だが、イーキンスはこう強調する。「小さな変化であっても、十分な数の人が起こせば、確実に違いを生みだせる」
「1年に1回、行楽で旅行をする人全員が、1旅程だけでも車やバスから鉄道に切り替えれば、100万トンを超える二酸化炭素排出量を削減できる。これは、行楽の旅行に起因する排出量の16.6%にあたり、2019年の英国における輸送由来総排出量の1%に近い」とイーキンスは話している。
LNERサイトにある炭素量計算ツールによれば、ヨークからロンドンまでの片道(約278km)で生じる二酸化炭素排出量は、鉄道を使う場合は12.34kgCO2eであるのに対し、自動車の場合は41.36kgCO2eになる。
同様に、エジンバラ・ネピア大学の輸送・衛生学教授を務めるエイドリアン・デイビス(Adrian Davis)博士らが執筆したWHOのリポートでは、週に1回、自動車を自転車に切り替えるだけで、ロンドンからニューヨークまでのフライト1回分に相当する排出量を削減できることが示されている。
(forbes.com 原文)