専門家が語る、交渉が失敗する3つの理由

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ミヒル・コープマンは、グーグル北欧地域で取引・商業化部門の責任者を務め、コンサルティング企業ヘット・シュピーヘル・インスティテュート(Het Spieghel Instituut)を創業した人物だ。

事業・メディア分野の交渉で輝かしいキャリアを築いたコープマンがこのほど筆者のポッドキャストに参加し、交渉が失敗する大きな理由と成功のコツを共有してくれた。交渉失敗の主な理由は次の通りだ。

1. 共感を示せないこと


ビジネスの場面では特に、非常に敵対的と感じられるような交渉の場面が多い。

「交渉を、勝者と敗者がいる腕相撲のように考える人もいる」とコープマンは指摘した。

交渉者はこうした考え方を持っていると、自分の視点や望み、ニーズにのみ注目して議論を始めてしまう。勝つのは一人だけというゼロサムゲームの考え方により、人はより強気に振る舞い、攻撃的になることさえある。相手に対する共感や思いやりを示すことが、弱さのように感じられるのだ。

私たちがビジネスや交渉について社会的に強制されている考え方を踏まえると、これは自然な反応だ。しかしコープマンは、他者の視点について考えることで成功の可能性が高まると論じている。

相手の立場を理解することで前向きな関係が築けるだけでなく、自分の立場についてよりうまく交渉できるようになるはずだ。

これを踏まえ、コープマンは交渉相手の価値観や関心について見識を得るため相手に質問することを勧めている。コープマンはそこから、相手の回答やそうした回答が持つ可能性に対し心を開いた状態を維持するよう促している。

2. 関係性を構築できないこと


コープマンは、短期間の合意は結べたものの、積極的に相手の視点を考えられなかったことが原因で長期的な関係には発展しなかった経験について語った。

ビジネスでは関係性が非常に重要となる場合がある。そのため(現在の取引を成立させることに加え)、関係構築を優先事項とすべきだ。

コープマンは「私の取引では、全ての人間関係が長期的なものだ」と述べた。

関係性の構築にはより多くの時間と労力がかかるが、その分価値ある結果が出せる。良い取引を成立させることはもちろん素晴らしいことだが、自分に出せる最大限の取引を成立させることを目標とすべきだ。関係性を構築することで、交渉相手との間に変化がもたらされるかもしれない。
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翻訳・編集=出田静

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