自社ブランドであるザ パブリック オーガニックやマツキヨココカラ&カンパニーのプライベートブランド(以下、PB)、アルジェランなどを展開。日本のマスオーガニックコスメ市場のパイオニアだ。
当時キャンペーンビジュアルの制作をしていたマツモトキヨシから、PBのコスメ開発の依頼があったことからコスメ業界に参入したそうだが、その頃カラーズではブランドや企業の広告制作を手掛けており、コスメに関してはずぶの素人。無謀とも思える挑戦も、持ち前の反骨心がむくりと頭をもたげる。
「できないとはまったく思わず、むしろ“絶対にいちばんいいものができる”と確信していました。もちろんコスメを開発した経験がなかったので根拠はないですが、なぜか自信だけはありました(笑)。今思えば、広告であれコスメであれ、何を作るにも妥協をせずこだわり抜いて作るということに対しては自信があったからだと思います」
では、それがラーメンでも? といじわるな質問をするも「やれると思います」と白い歯を見せながらきっぱり。まさかの返しに驚いた。
「いつも“このラーメンの美味しさの秘訣は何だろう”って考えつつ、箇条書きにしながら食べているくらいですから。美味しいラーメンが作れると思います。もちろん根拠はないです(笑)」
日本のメンズコスメは、まだまだ「男が肌を気にするなんて」という風潮があるように思える。これを打破するのに必要なことを訊くと「別に打破しなくてもいいんじゃないですか」と肩透かしをくらった。
「肌がきれいな男がやたらとモテる時代が来れば、世の男性は肌を気にするようになるでしょう。でも僕は別にどっちでもいいと思っていて、男女に関係なくきれいな肌を作りたければ作ればいいし、作りたくなければ作らなくていい。人それぞれじゃないですか」
昨今ではコスメに限らず、あらゆる商品が“無添加至上主義”を主流としており、なかには無添加以外は許容しないという極端な意見も散見される。こういった現状に対してどう思うかたずねると嘆息交じりに語る。
「男女にかかわらず肌がきれいでもそうでなくてもどちらでもいいっていうのと同じで、自然のものを使いたい人は使ってきれいになればいいと思います。うちはオーガニックコスメを作っていますが、サイエンスコスメも作っていますし、僕自身も植物療法士の資格を持っていながらも、ケミカルなものも普通に使いますから。僕のスタンスとしては、オーガニックであれケミカルであれ、状況に応じて適したほうを使えばいいと思っています」