トランプと北朝鮮の金正恩が交わした「ラブレター」の行方

ドナルド・トランプ前大統領(Photo by Chip Somodevilla / Getty Images)

ドナルド・トランプ前大統領は2020年1月、ワシントンポストの記者のボブ・ウッドワードから、彼が北朝鮮の金正恩に送った手紙を見せるよう求められた際に、「それらは極秘文書だ」と述べて拒否したという。トランプはそれにも関わらず、それらの文書をフロリダ州パームビーチにある彼の別荘のマー・ア・ラゴに持ち出したと報じられている。

10月18日のワシントンポストの記事によると、トランプは金から受け取った手紙のコピーをウッドワードに渡したが、2019年12月のインタビューで「渡したとは言うなよ」と警告したという。ウッドワードは手紙の内容をレコーダーに口述し録音したが、記事によると、その手紙には機密書類であることを示すスタンプは押されていなかった。

トランプと金がやりとりした手紙は、国立公文書館(NARA)がトランプのマー・ア・ラゴ・リゾートから回収した15箱の文書の中に含まれていたと報じられており、NARAはホワイトハウスから不適切に持ち出されたものだと述べている。

トランプと金の文通は、2人が互いに送り合ったお世辞のような文面から、一般に「ラブレター」と呼ばれるようになった。米連邦捜査局(FBI)が8月8日の家宅捜索でマー・ア・ラゴから押収した325件の機密文書の中に、この手紙が含まれているかどうかは不明だ。

トランプは、ホワイトハウスの書類を自身の別荘に送ったことについて、すべての文書の機密指定を解除したと主張し、繰り返し不正行為を否定してきた。しかし、彼はその主張を裏付ける証拠をほとんど示しておらず、先月はFoxニュースの司会者のショーン・ハニティに「考えるだけで機密指定を解除できる」と語っていた。

トランプと弁護団は、彼らを有利にするためにFBIが押収した公文書を精査する「特別管理者」の任命を求めていたが、その要求が連邦地裁によって許可された。しかし、最高裁は、特別管理者のレイモンド・ディアリー元首席連邦判事に対し、機密記録の審査へのアクセスを認めるよう求めるトランプの要求を却下した。ディアリーは、11月12日までに文書の審査を完了する必要がある。

ワシントンポストによると、ウッドワードとトランプの会話の音声は、「The Trump Tapes」と呼ばれる新しいオーディオブックの一部として10月25日に公開される予定という。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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