ビジネス

2022.10.30 09:00

売上の1%で地球を再生 米敏腕シェフが設立したZero Foodprintとは


最初のクライアントは「Noma」


Zero Foodprintの挑戦はコンサルティング事業から始まりました。監査によってレストランが排出する温室効果ガスの量を算出し、それを削減するためのアドバイスやカーボンクレジット購入の仲介を提供したのです。

最初のクライアントはデンマークを代表するレストランである「Noma」でした(ただし、もともと環境問題を意識した経営をしていたNomaにはあまり改善すべき点がなく、火力発電による電力を持続可能なエネルギーに変えたことで排出量をほぼゼロに近づけたといいます)。

そして、主にレストランを対象にコンサルタントを続けてきた結果として生まれたのが、「レストランが排出する炭素を相殺(オフセット)するために必要な資金は、平均して売り上げの1パーセントである」という冒頭の方程式でした。この方程式をもとに、Zero Foodprintの「Restore」プログラムが始まります。

「食卓から農場へ(Table To Farm)」


食が気候変動に与える影響を大幅に削減すると期待されるリジェネレイティブアグリカルチャーは、従来の生産方法からの移行にコストがかかることが難点です。こうした移行のために独自の助成金を出す州もありますが、それだけでは足りないことも多いといいます。

例えば、カリフォルニア州で農家を営むヘイゼル・フレットは、土壌回復の取り組みに助成金を出す州のプログラム「Healthy Soils Program」に応募したものの、受け取った資金が「予想以上に早く資金が尽きてしまい、残念な結果になりました」と振り返っています。さらに、最近では干ばつや火災、猛暑といった気候変動の影響で農家が経済的な打撃を受けています。

そこでZero Foodprintは、ビジネス(レストランや食料品店など)の売り上げの1パーセントを受取、それをリジェネレイティブアグリカルチャーの支援に使っているのです。この助成金を、農家たちは堆肥の活用や被覆作物の導入に役立てています。

「『Restore』プログラムは、土壌を健康な状態に戻す手助けをしてくれました」そう話すのは、カリフォルニアで牧場を営むダニエル・テオバルドです。「これは普通の市場原理で対処できるものではありませんでした。土壌のように長期的な解決策を講じる必要があるものに対しては、最初のキックスタートが必要になるのです」
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文=GRAZE GATHERING MAGAZINE

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