「インターネットの自由度」1位はアイスランド、最下位は中国に

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新たな調査で、世界のインターネットの自由度が12年連続で低下したことが示された。米国の人権団体フリーダムハウス(Freedom House)が10月18日発表した「インターネットの自由度ランキング」の2022年版によると、28カ国でネット上の人権が悪化し、世界のインターネットユーザーの3分の2以上がネット上での表現の自由を制限されているという。

中国は今年もまた、インターネットの自由度が世界で最も低い国に選ばれた。2022年の北京オリンピックで検閲が強化され、テクノロジー分野への統制が強化され、中国共産党のイデオロギーを促進することを義務付ける新しいルールが導入された。

しかし、インターネットの自由度が最も低下したのはロシアで、政府はウクライナ侵攻後に、国内の反対勢力を抑圧し、独立系メディアの口を封じる姿勢を強めている。

「ロシア政府は、信頼できる報道を抑制し、戦争反対のデモを鎮圧するために海外のSNSへのアクセスを制限し、5000以上のウェブサイトをブロックする強硬な法律を可決した」と、フリーダムハウスのリサーチディレクターで、「ネット上の自由(Freedom on the Net)」の共著者のアリー・ファンクは述べている。

さらに、ミャンマーやスーダン、リビアでもネットの自由度が著しく低下していることが示された。また、政府が承認したコンテンツしか見られない人々が増加しており、調査対象の70カ国のうち47カ国で当局が、国外の情報源へのアクセスを制限しているという。

しかし、ガンビアとジンバブエを筆頭に、26カ国でネットの自由度に改善が見られている。

米国では、6年ぶりにネットの自由度がごくわずかだが改善され、デモにおける監視活動やオンライン・ハラスメントの報告件数が前年に比べて減少した。米国は現在、オーストラリア、フランス、日本と並んでネットの自由度で世界9位にランクインしている。

本年度のランキングの首位はアイスランドで2位はエストニア、3位はコスタリカだった。

「バイデン大統領は、ネットの自由の促進を外交政策の最優先課題に位置づけ、国務省にサイバースペース・デジタル政策局を新設し、デジタル民主化プログラムに投資を行っている」とファンクは述べた。

しかし、こうした努力は、米国内のオンライン人権保護の進展につながっていない。米国の政府機関は、ほとんど制限を受けずに市民を監視可能で、データブローカーからアメリカ人のデータを簡単に購入することができる。

「米国のインターネットは、偽の情報や陰謀論、オンライン・ハラスメントなどで満ちており、ネット上での選挙否定論の蔓延は、民主主義に対する国民の信頼を損なっている」とファンクは付け加えた。

本年度のインターネットの自由度ランキングの詳細は、下記から確認できる。
https://freedomhouse.org/countries/freedom-net/scores

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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