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2022.10.23 15:00

世界のサメの「集団座礁」に関する調査結果の興味深い傾向が判明

2022年5月25日、インドネシア・西スマトラの海岸に打ち上げられたジンベイザメ(Getty Images)

2022年5月25日、インドネシア・西スマトラの海岸に打ち上げられたジンベイザメ(Getty Images)

上空でホバリングするヘリコプターの騒音は、白い砂浜に弱々しく打ち上げられた巨大な黒い胴体に打ち寄せる波の崩れる音にかき消されている。「何頭見える?」とボランティアがヘリのパイロットに尋ねる。いったい何頭の海獣がいるのかよく見るために上空高く飛んでいたパイロットは、海岸に着陸することにした。その数は100を超えてもまだ終わらなかった。

日は昇ったばかりだが、ボランティアたちは巨人たちを生かそうと何時間もここで働いている。誰もがずぶ濡れで疲労していて、空気には死と潮の塩分が混じっている。座礁。正確な定義は存在せず、動物の種類によっても異なるが、一般に(陸上あるいは海上で)死体あるいは怪我や病気のために海に戻れない状態で発見されされた動物を指す。なぜそれが起きたかははっきりしないが、集団座礁の多くは疫病の発生、気候現象、あるいは人為的撹乱が原因だ。

これは世界的現象であり、一部の分類群に対しては詳しく監視、記録されている。海洋哺乳類、カメおよび海鳥が、座礁レポートで最も多く報告されている。そして、サメ類は最も絶滅が危惧されている脊椎動物(現在記載されている種の31.2%が絶滅危惧種である)であるにもかかわらず、彼らの座礁は歴史的に無視され続け、その個体数や傾向の記録はほとんど残されていない。

こうした動物たちの実測個体数減少の主要因が乱獲であることは明白だが、集団座礁も動物たちの生存に影響を与えるさらなるストレス要因であることが明らかにされるかもしれない。この知識ギャップを埋めるべく、ブラジルのUniversidade Federal do Paraná、Programa de Pós-Graduação em Zoologiaの研究者ナターシャ・ウォズニックは、索引化されたデータベースの科学文献、マルチメディアプラットフォームおよび市民化学データベースを系統的に再調査する取り組みを主導した。総数3150件の報告がチームによって回収され、古くは1880年の座礁にまでさかのぼる。

記録は主に科学文献と会議要約から得られた。マルチメディアプラットフォーム(Facebook[フェイスブック]、YouTube[ユーチューブ]、Twitter[ツイッター]等)や、保護プログラムのウェブサイトのオープンアクセスデータベースおよび座礁監視Facebookグループのビデオと画像も含まれており、市民科学プロジェクトのiNaturalistからの報告は、すべて市民科学の情報として分類された。全作業を通じて、22科、89種のサメの単独(あるいは「小規模」)および集団座礁事象が発見された。種は海岸種から海洋種、さらには深い場所を好むことが知られている種も含まれていた。「中には、クロハラカラスザメ(Etmopterus spinax)、ビロウドザメ(Zameus squamulosus)、オロシザメ科のアングラー・ラフシャーク(Oxynotus centrina)などの深海サメの記録もありました」と著者らはいう。

大型、小型両方の種が見つかっており、報告された最大の個体は9.45メートルのジンベイザメ(Rhincodon typus)のオスで、最小は20センチメートルのレッドスポッテッドキャットシャーク(Schroederichthys chilensis)だった。米国は座礁の最も多い地域であり計2462件が報告され、カリフォルニア州(58.9%、n=14199)、オレゴン州(6%、n=146)を主としてフロリダ州(n=54)、ノースカロライナ州(n=28)、サウスカロライナ州(n=179 )が続いた。次に多かった地域は、驚くことにニュージーランド(n=121)であり、英国(n=118)と南アフリカ(n=114)が続いた。
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翻訳=高橋信夫

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