日本はなぜ幸福度が低いのか? キーワードは「寛容さ」

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高齢化の課題解決において、日本は世界をリードするチャンスを手にしています。労働人口の減少に伴い、日本の社会構造は変革期を迎えています。豊かさと幸福を実感できる社会作りに動き出す時がきています。

その一方で、国連が発表した「世界幸福度ランキング2022」で日本は54位と、先進諸国の中で最低でした。

課題解決への鍵はあるのでしょうか。世界経済フォーラム(WEF)のアジェンダからご紹介します。


少子高齢化は世界が直面する喫緊の課題です。そして、その「最前線」を走る日本の人口急減、超高齢化に歯止めがかかりません。目下進む少子化の最大の原因は、若い世代の未婚化・晩婚化で、その背景には若者世代の将来への社会的、経済的不安があります。安定した生活を維持するためには、結婚や子育てなど家庭を作っていく将来設計よりも、仕事、キャリア形成を優先せざるを得ない意識が形成されてしまっていることが考えられます。

同時に進んでいる高齢化もまた、諸外国に類を見ない速度で進行しています。内閣府が発表した2022年版高齢社会白書によると、日本における65歳以上の人口は現在3621万人余りで、総人口の28.9%を占めています。この数は、2042年には3935万人でピークに達することが見込まれています。

労働人口の減少や社会保障費の増大など、日本の社会基盤を揺るがす危機的状況を回避する手立てが模索されていますが、私たちは、急激に社会構造が変化していくこれからの時代をどう生き抜けばよいのでしょうか。すべての人が、心も身体も健康で幸せに生きることができる社会の実現には、何が必要なのでしょうか。

日本の幸福度ランキング、先進国で最下位の理由は


1946年に、世界保健機関(WHO)が定義した「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」という概念に立ち返り、ウェルビーイングを中心に据えた社会の実現ついて考えてみましょう。ウェルビーイングは、客観的なものと主観的なものに分かれています。「客観的ウェルビーイング」は、GDPや健康寿命など数字で測れるものであるのに対し、「主観的ウェルビーイング」は、個人が自分の人生の充実度、幸福度、満足度などを評価するものです。
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文=Naoko Kutty, Digital Editor, World Economic Forum

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