コロナ長期後遺症、女性や入院患者により多くの発症事例

Getty Images

「ロング・コビッド(Long Covid)」とも呼ばれる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期後遺症になる確率は、女性患者、ならびに入院が必要となった患者のほうがずっと高いことが、米国医師会雑誌(JAMA)のオープンアクセスジャーナル「JAMAネットワーク・オープン」に2022年10月10日付けで発表された査読付きの最新研究論文で明らかになった。

長期にわたって苦しめられ、日常生活に支障をきたす場合もあるこの後遺症に関する新たな知見が得られたかたちだ。ロング・コビッドについては、多くの研究者が新しい治療法や対処法を模索している。

この研究では、先行研究と、22カ国から収集した新型コロナウイルス感染症患者120万人に関する診療記録を分析した。その結果、有症者のうち、感染時から何カ月も経過しても頑固に続く症状が現れる人は、推定で6%だったことがわかった。

研究では、ロング・コビッド患者を3つの症候群に分類した。「継続する呼吸器症状」「体の痛みや気分の変動を伴う倦怠感」「認知機能障害」だ。こうしたロング・コビッドの症状がより多く現れたのは、入院しなかった患者よりも、入院が必要になった患者だったことがわかった。特に目立ったのは、集中治療室(ICU)に入院して治療を受けた患者だ。

研究結果によれば、ICUに入院していた患者の場合、3カ月後に、3つの症候群のうち少なくとも1つの症状があった割合は、推定で43%だった。それに対して、一般病棟に入院した患者は28%、入院しなかった患者は6%にとどまった。

研究チームはさらに、年齢と性別で、ロング・コビッドを発症するリスクに有意差が見られたことを明らかにした。具体的には、女性ならびに20歳以上の成人のほうが、ロング・コビッド発症するリスクが大きかった。

世界全体では、ロング・コビッド発症者のうち推定で63%が女性だったと、研究チームは述べている。また、年齢が20歳以上で、新型コロナウイルスに感染して発症したが入院する必要はなかった人のうち、長期化する症状に苦しめられたのは、女性の場合はほぼ10人に1人(10%)だったが、男性の場合はその半分の5%だった。

20歳以上の人も、20歳以下の人に比べると、ロング・コビッドを発症するリスクが大きいようだ。リスクの上昇率は、男性が推定で2%、女性は7%だった。

研究チームによると、新型コロナウイルスに感染して長期的な後遺症が出た人のうち、感染から12カ月が経過しても症状が消えなかった人は、推定で15%だった。
次ページ > ロング・コビッドと慢性疲労症候群の類似性

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事