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2022.10.21 08:45

エコな帆船でイギリス海峡横断 英スタートアップが運航開始へ

Getty Images

英仏を隔てるイギリス海峡の幅は、最狭部で英ドーバーから仏カレー近郊グリネ岬までの約32キロだ。だが、2年にわたる新型コロナウイルス流行や、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に伴う入管手続きの煩雑化によって、英仏間の距離は拡大。特に、軽視されがちな徒歩や自転車、車椅子での渡航者にとっての障害は多い。

こうした中、英国の新たな帆船運航企業セールリンク(SailLink)が、既存のフェリーや飛行機に代わるエコな代替渡航手段を提供しようとしている。

同社は、クラウドファンディングと、仏北部ブーローニュシュルメールを拠点とするインキュベーター、ブルー・リビング・ラブ(Blue Living Lab)から資金を調達。2023年までに、英仏間の帆船運航を開始する予定だ。

当初はドーバーとブーローニュシュルメール間での運航となるが、24年には仏ダンケルクと英ラムズゲート間、25年にはより長距離の英ニューヘーブンと仏ディッペの間の航路開通が予定されている。

試験段階では乗客6人と自転車2台を輸送できる12メートルの船が使われているが、ゆくゆくは乗客12人と自転車12台、車椅子2台を一度に輸送できる船の運航を目指している。

船の推進力は風力だが、新たな試作船には船上の太陽光パネルで充電できる電動推進システムが採用される。

セールリンクの創業者アンドルー・サイモンズは英紙ガーディアンに対し「頼るのは主に風力だが、風が弱まったときや港への出入りには機械を使った推進力が必要だ」と説明。ターゲットとなる層は「海を体験したいサイクリストや徒歩の旅行者、環境に優しいだけでなく冒険的な要素を含む代替的だが便利な旅を求めている人々」だと述べている。

平日の仏入管手続きは、国境警察が船を出迎えパスポートにスタンプを押すという簡易なものになっているが、週末の手続きはより複雑で、電車で40分の距離にあるカレーに移動してパスポートにスタンプを押してもらう必要がある。ドーバー発着時には必要に応じて検問が行われる。

海峡横断にかかる時間は4時間程度で、料金は片道約85ポンド(約1万4000円)となる予定。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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