拷問して自白を強要したと主張
リポートで詳述されているのは、8人の男性に有罪判決と死刑判決を下すことにつながった深刻な人権侵害の証拠だ。この男性8人の第一審と控訴審では、捜査というよりむしろ尋問を受けた際に拷問と虐待が行われたという信頼できる申し立てが却下され、被告人が公正な裁判を受ける権利が侵害されたという。
被告人の尋問に弁護士を同席させる権利や、検察側証人を反対尋問する権利は認められず、内密に入手した捜査内容だけをもとにして判決が下された、というのがリポートの主張だ。
8人のうちの1人が、警察官殺害に関与したとして逮捕されたズハイル・エブラーヒーム・ジャシム・アブドゥッラー(Zuhair Ebrahim Jasim Abdullah)だ。彼は、尋問担当者にレイプされそうになったことや、妻をレイプすると脅されたこと、胸元と性器に電気ショックを当てられたことを明かしている。
裁判所は、尋問担当者から拷問されたという彼の主張を退け、強制的に自白させられた内容をもとに、死刑判決を下した。
HRWの中東副局長マイケル・ペイジ(Michael Page)は、「数多くの訴訟において、被告人が拷問と虐待の被害に遭ったという信頼できる申し立てを行っているにもかかわらず、裁判所は、強要による自白を証拠に判決を下している」と述べた。
HRWの顧問でリポートの主要著者でもあるジョシュア・コランジェロ=ブライアン(Joshua Colangelo-Bryan)はまた、バーレーンのハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王に対し、すべての死刑判決をただちに減刑するよう求めている。さらに、バーレーン政府は、死刑執行を事実上廃止する「死刑執行モラトリアム」を復活させるべきだと述べている。同国は、2010年以来死刑執行がなかったが、2017年に死刑執行を再開させている。
バーレーン政府の報道官は、同国では刑事司法制度が「国際法を完全に順守したかたちで運営されている」としたうえで、公正な裁判を受ける権利は同国の憲法と法律に記されていると述べた。
(forbes.com 原文)