経済・社会

2022.10.20 16:45

バーレーンでの人権侵害、人権擁護団体が欧米諸国に対応を訴え

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米国政府は、バーレーンに対する武器輸出を規制し、安全保障支援を縮小するよう迫られている。バーレーンで、警察と司法制度による深刻な人権侵害が疑われているためだ。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)と、人権団体バーレーン・インスティテュート・フォー・ライツ・アンド・デモクラシー(BIRD:Bahrain Institute for Rights and Democracy)が公表した61ページにわたるリポートで、バーレーンの司法制度で深刻な人権侵害が横行していることが指摘された。

リポートが訴えたのは、容疑者への拷問と虐待について信頼できる申し立てがなされているにもかかわらず、バーレーンの裁判所はこれを却下していること。さらに、被告人が持つ「公平な裁判を求める権利」、つまり弁護人を立てたり、検察側証人を反対尋問したりするといった権利が絶えず侵害されていることだ。

「数々の訴訟で、裁判所は、被告人(あるいは共同被告人)が拷問や虐待で強要されて自白した内容を、唯一あるいは主な証拠として採用し、被告人に有罪を言い渡し、死刑判決を下している」とリポートには書かれている。

米国とバーレーンに対して安全保障における協力体制を縮小するよう求めたとしても、両国が難色を示す可能性は高い。両国は、安全保障分野で非常に緊密な関係を築いているためだ。バーレーンには、米海軍第5艦隊と米中央軍海軍部隊が司令部を置いている。

HRWとBIRDはまた、他国に対しても何らかの措置を講じるよう呼びかけている。英国政府に対しては、多数のバーレーン政府機関に対して行っている資金提供を一時停止すべきだと主張した。欧州連合(EU)に対しては、虐待行為の責任者であるバーレーン政府関係者を「対象にした措置」の検討を求めた。

リポートで詳述された拷問と虐待が行われたのは主に、バーレーン内務省の犯罪捜査部だとされている。また、拷問に関する報告があり、医師によってその事実が裏づけられていた場合でも、然るべき調査を行わなかったとして、バーレーン内務省オンブズマンと特別捜査班(SIU)を非難している。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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