はるか彼方でブラックホールを誕生させた爆発を地球の大気で検出

ガンマ線バーストのイラスト(NASA)

10月始め、観測史上最強クラスの天体爆発が望遠鏡で観測されたことに、天文学者たちは驚いた。しかも、その激しい爆発は、20億光年離れた地球の大気までイオン化したことがわかった。

その銀河ショットはGRB221009Aとして登録されているガンマ線バースト(GRB)で、NASAの軌道観測衛星望遠鏡Swift、宇宙探査機のWind、およびフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が10月9日に初めて発見した。

「このバーストは通常のGRBよりずっと近くで起きています」と、フェルミLATコラボレーションのメンバーでイタリア・バーリ工科大学の大学院生、ロベルタ・ピレラが声明で語った。「しかも、これは距離を問わずこれまでに観測された中で最も協力で最も明るいバーストなので、興奮は2倍です」

ここでいう「近い」は極めて相対的なものだ。このガンマ線バーストは地球に到達するために宇宙のかなりの部分を通過してきている。事実、このブラストが爆発源を離れたとき、生命はまだ地球に足がかりを築こうとする非常に早い段階にあった。恐竜まではまだ遠い道のりだった。

ガンマ線バーストは、ブラックホールの原因になることの多い超新星爆発や極超新星爆発による星の死に関連する現象の中で、最も強力であると考えられている。

NASAによると、地球で実際に検出された信号は、幼いブラックホールが恐ろしく強力な粒子の噴射を高速で宇宙に放出した際に生まれたものだ。


ガンマ線バースト、GRB 221009Aのイメージ(NASA, DOE, FERMI LAT COLLABORATION)

今回の爆発は平均的なガンマ線バーストよりも近いため、通常よりも長く、最大10時間観測することができた。

これは、このガンマ線バーストが私たちの太陽の強力な太陽フレアと同じように地球の大気をイオン化するほど強力であったことの説明にもなる。このエネルギー移動によって、ラジオ波が大気中を通過する様子が実際に変化した。

研究者のラミ・マンドウはTwitter(ツイッター)で、世界中の検出器がその衝撃に気づいたと報告した。

フェルミ望遠鏡が捉えたデータは、爆発による光子のエネルギーは、可視光線の約5000万倍のエネルギーを持っていることを示している。

幸いなことに、地球の磁場のおかげで、この記録的な爆発は地上のいかなる生物にも脅威を与えなかった。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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