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2022.11.01 13:30

ダイソン社長、Rakuten、そして日本郵政へ 飯田恭久氏とは何者か

日本郵政グループJPデジタル社長 飯田恭久

日本郵政グループJPデジタル社長 飯田恭久

2021年5月、日本郵政グループは「JPビジョン2025」を発表した。その中では、利用者と地域を支える「共創プラットフォーム」として、「DXの推進」と「コアビジネスの充実強化による成長とビジネスポートフォリオの転換」が標榜されている。背景としては、日本郵政グループのみならず、日本社会全体を取り巻く環境変化である「少子高齢化の進展」「デジタル化の進展」があった。

その2カ月後、日本郵政グループ内に一つの会社が誕生した。P&G、ウォルト・ディズニー、ダイソン、Rakuten USAなどを歴任した飯田恭久氏が率いる「JPデジタル」である。正確に言うと、誕生したのではなく飯田氏が、日本郵政グループのDXを推進すべく、進言して創設した会社である。

以下、JPデジタル飯田社長に話を聞いた(なお、本記事は日本郵政キャピタルのホームページに掲載された記事「JPデジタルがスタートアップ企業と仕掛ける日本郵政グループのDX」を加筆・改訂したものである)。

後編はこちら> 日本郵政グループと連携したスタートアップ企業、顧客はいきなり「全国民」?

あえて「窓がない」貸オフィスで始めた理由


まず、JPデジタル社長、飯田恭久氏は日本郵政グループのいわゆるプロパーではない。

元々はプロ野球を目指していた高校球児。大学卒業後に渡米し、マーケティングの学位を取得。そして、持ち前の突破力を生かしてジレット・ジャパン(現P&G)社に入社。ウォルト・ディズニー社でマーケティングに従事したのち、ダイソン日本支社の代表取締役社長になった。

その折、楽天創業者三木谷浩史氏と出会い、同社のグローバル化への方向性に共感。同社に入社し、グループ会社である米国LinkShare Corporation CEOやリンクシェア・ジャパン代表取締役社長を経て、Rakuten USA, Inc. のプレジデントを務めていた人物だ。そんな飯田氏が、日本郵政の執行役に就任した2021年4月、そして同年7月からに自らが創設したJPデジタルのCEOに就任している。

インタビュアー(曽根康司):JPデジタルを創設された経緯をお聞かせください。

私は昨年2021年に日本郵政グループのCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)として、参画しました。日本郵政グループのDX推進がミッションです。

ミッションを遂行すべく中に入ってみると、これが大変でした。まるで「異国の地の企業」に来たような感覚でした。階層型組織、前例踏襲主義。新しいメーカーからパソコン一つを買うのにさえ、決裁含めかなりの時間を要するので、他社から来た私のような人間の感覚からすると、大変な驚きがありました。しかし、考えてみると、それは不思議な話ではありません。郵便事業が始まったのは1871年。約150年にもなる歴史がありますから、仕組みやオペレーション、蓄積してきたものが違います。
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取材・文=曽根康司 編集=石井節子

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