しかしながら、火山によって作られた可能性も指摘されており、最終的にホスフィンは、主に金星における異常で説明のつかない化合物の証拠としてのみ受け止められている。
宇宙生物学者が惑星で探すべき化合物は何か? 何らかの生物学的生命の副産物としてのみ存在する気体だ。それは「ブロッコリーが作り出す気体を探す」ということかもしれないとAstrophysical Journalに掲載された最新研究は述べている。
地球上のあらゆる植物と微生物は毒素を気体として放出している。具体的には、メチル化と呼ばれる過程の中で化学元素に炭素原子1つと水素原子3つを付加する。
ブロッコリーが放出するのは臭化メチルで、赤色矮星を周回する惑星の大気で探す上で特に興味深い気体であると研究者らは主張している。赤色矮星は天の川銀河の中で存在を知られている全恒星の約70%を占める冷たい星だ。
アーティストの描く赤色惑星を周回する惑星系のイメージ。そこでは臭化メチルが検出される可能性が高い(NASA/JPL/CALTECH)
臭化メチルが探索に適した気体である理由は、従来の生命の痕跡を示す気体よりも大気中に存在する時間が短いからだ。「これを見つけたら、遠くない過去に作られたものであり、それを生成した物体は今も生成している可能性が高いでしょう」とUCR(カリフォルニア大学リバーサイド校)の惑星科学者で本研究の主著者であるマイケラ・リアンはいう。「この気体を非生物的方法で作る方法は限られているため、もし見つかれば生命の存在をより強く示しています」
臭化メチルは地球に存在しているが、太陽の紫外線によって破壊されるため見つけることが難しい。そのため、紫外線の強度がずっと低い赤色矮星(M矮星とも呼ばれる)を周回する惑星で見つけることが最も容易だ。「ホスト恒星がM矮星であれば、臭化メチルの濃度と検出性が太陽より4桁高まります」とリアンはいう。
「臭化メチルは地球上の生命体が作り出す数多くの気体の1つであり、生命の有力な証拠を遠方から提供してくれるかもしれません」とUCRの宇宙生物学者で論文共著者であり、リアーンのいる研究グループのリーダーでもあるエディー・スウィーターマンは言った。「これは氷山の一角にすぎません」
澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。
(forbes.com 原文)