外資系CAからエンターテイナーへ 35歳の新人「CRAZY COCO」がバズる理由

普段の凛とした佇まいと、ネタで見せる“変顔”のギャップが印象的なCRAZY COCO

CRAZY COCO(クレイジーココ)は強気だ。

10月初旬にForbes JAPANのオフィスを訪れた彼女は、誰もが笑顔になるような和やかな空気をつくりつつ、揺るぎない「芯」のある話をしてくれた。

TikTokで見せる“クレイジー”な「CAネタ」が大人気のCRAZY COCOは、スカウトを受けて、今年3月に35歳で吉本興業に入った。前職はエミレーツ航空のCA。「爆速で売れたい!」と自ら道を切り拓き、実際にメディア出演が急増している戦略家だ。

「いつもチョケてるけど、話をしてみると意外と真面目な子」

それが、芸能界入りを後押ししてくれた前職の社長からの評だった。

きっかけはコロナで「死」がよぎったこと


「芸人という日本語を英訳するときに、必ずしも『コメディアン』とイコールではないと思っています。私自身は、コメディアンよりもエンターテイナーでありたい」

大学を卒業後、留学で身につけた英語力を生かして商社に入社。その後もCAや特定技能生就労サポートなどに従事してきた。そんな彼女がエンターテイナーを目指したきっかけは、新型コロナウイルスだった。

2021年夏、コロナに罹患して2週間入院。「死」を意識するような経験は、自身の半生を見つめ直す機会になった。

「ベッドの上で考えたんです。これまでも率先して人前に立ち、皆をハッピーにしたり元気づけたりすることが大好きだった。それこそが本来私がやりたいことじゃないのかって」

そして退院後すぐ、エントリー期間中だったお笑いコンテスト「女芸人No.1決定戦 THE W 2021」に応募。アマチュアながら準決勝まで勝ち上がった。

同時期からTikTokもスタートし、「日系CAと外資系CAの明らかな違い」「東京CAと大阪CAの明らかな違い」などのCA経験を活かしたネタを投稿。これらがバズって多くのファンが付くようになる。

「バランサー」だった子ども時代


現在はテレビ出演が増えつつあり、「爆速で売れる」という目標に着実に近づいているCRAZY COCO。ただ、お笑いの道への一歩を踏み出すまでの道のりは長かった。

大阪で生まれ育った彼女は、子どものころから「おチョケ」と呼ばれるほど陽気で、かつ周りの空気を読むのが得意だった。自身では、当時の自分を「バランサー」と表現する。

「吉本新喜劇の島田珠代さんのモノマネをするなど、常にふざけるのが好きな子どもでした。でも、それも空気を読んでやっているところがあって。親戚が集まる際などで、場がちょっとピリついていると“和ませたい”という意識がありました」
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文=矢吹博志 構成=田中友梨 撮影=小田駿一

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