ビジネス

2022.10.20 10:30

人工知能への投資ペースは鈍化、しかし依然ホット


彼らは「雇用凍結とAI研究所の解散は、DeepMind(ディープマインド)やOpenAI(オープンAI)を含む巨人からの、多くのスタートアップの形成を早めるでしょう」と付け加えている。大手ハイテク企業でさえ、スタートアップに人材を奪われるケースが出ている。たとえばMeta(メタ)は「10年近く製品ロードマップの制約から自由に運営してきた中央AI研究グループを畳む」という。さらに、グーグルでは「トランスフォーマー型ニューラルネットワークに関する画期的な論文著者の1人を除いて、全員がGoogle(グーグル)を離れ、汎用人工知能、会話エージェント、AI主導バイオテクノロジー、ブロックチェーンなどの分野で独自のスタートアップを立ち上げている」と指摘している。たとえば、AnthropCは2022年に5億8000万ドル(約862億7000万円)、Inflectionは2億2500万ドル(約334億7000万円)、co:hereは1億2500万ドル(約185億9000万円)を調達したと書かれている。

AIを活用したスタートアップ、スケールアップ企業への世界的投資状況


・2018年 720億ドル(約10兆7090億円)
・2019年 650億ドル(約9兆6681億円)
・2020年 695億ドル(約10兆3370億円)
・2021年 1114億ドル(約16兆5700億円)
・2022年 475億ドル(約7兆652億円)[見込み]

ベネイチとホガースは、世界各国におけるAI「ユニコーン」の出現状況も調査し、米国がこうした有望なスタートアップの中でトップ、次いで中国と英国であると結論付けている。2022年に米国内で誕生したAIユニコーンは合計292社、企業価値の合計は4.6兆ドル(約684兆2000億円)にものぼる。また全体として「AIを利用する米国ベースのスタートアップやスケールアップへの投資は大幅に減少しているにもかかわらず、まだ世界のAI投資の半分以上を占めています」と付け加えている。

またベネイチとホガースは、2022年に大手テック企業は引き続き「AIクラウドを拡大し、AIスタートアップと大規模な提携を行いました」という。「ハイパースケーラー(大規模サーバー運営者)や野心的なAIコンピュートプロバイダー(AI向け計算処理サービス提供者)は、マイクロソフトのOpenAI(オープンAI)への10億ドル(約1487億4000万円)の投資を筆頭に、大規模なAI企業とのパートナーシップを進めています。今後もさらに増えるでしょう」

ベネイチとホガースは、AI機能を安全性に先行させることで直面してしまうリスクを認識する人が増えるにつれて、今後1年間で AIの調整に特化した組織に、1億ドル(約148億7000万円)以上が投資されると予想している。さらに彼らは「大手ユーザー生成コンテンツ(UGC)側が、AIモデルを制作するスタートアップ(たとえばOpenAIなど)と商業的な交渉を行い、自社のユーザー生成コンテンツのコーパスで学習させる」という予測も行っている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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