2010年のエイプリルフールの日、ゲーム会社のGameStationは同社の利用規約を変更し、全利用者に「不滅の魂」を放棄することを要求した。その日に注文した7500人の中で気づいた人は誰もいなかった。
この悪ふざけは、ユーザーが小さい活字をほとんど読まないという事実を白日の下に晒した。そして最近はというと、各企業は自社ユーザーのデータをあらん限り収集することに励み、プライバシーポリシーは深刻な問題を隠蔽しかねない理解不能な要塞になっている。
オランダのVPNウェブサイト「VPNoverview」は、世界の有力ソーシャルメディアサイトのプライバシーポリシーを分析しその読解レベル、難易度、文の長さ、1単語当たりの音節数、および全体の可読性に基づいてランクづけした。
そしてその結果、Facebook(フェイスブック)のプライバシーポリシー(そもそも悪かった)は、同社が2021年夏にMeta(メタ)へとブランド変更された際、大幅に悪化したことがわかった。
「長さは驚きの1万2000語で、読むのに87かかるメタの新プライバシーポリシーは、10位から1位へと跳ね上がりInstagram(インスタグラム)を超えました。読みやすさのスコアが5.92だったのが主な理由です」と調査を実施したVPNoverviewはいう。
理解するためには大卒レベルの読解能力が必要であり、1文当たりの語数は42で、読むのに1時間半かかる。ちなみに、フェイスブックは位置情報、コンテンツおよび決済情報を集めている。
インスタグラムのプライバシーポリシーもまた、最も読みにくい中の1つで、読み終えるのにかかる時間はフェイスブックと変わらない。「インスタグラムは13歳児がどうやってこれを理解することを期待しているのでしょう?」と同社は疑問を呈す。
さらにこのポリシーは、データ(検索履歴、位置情報、連絡先、決済情報を含む)を第三者と共有すると述べ「合理的に必要」な場合は、政府機関、警察、その他の組織に渡すと言っている。
そしてTikTok(3番目に悪い違反者)は、大卒レベルの読解力を要求し、同社が位置データおよびダイレクトメッセージの内容を収集していることを発見することを困難にしている。
VPNoverviewによると、ウェブサイト全体10カ所中6カ所以上が、事実上読解不能であり、ほとんどが大卒以上の読解レベルを必要としているが、米国成人の平均読解レベルは14歳相当にすぎない。
最悪の違反者はDisney(ディズニー)で、同社のポリシーは、長くはないものの、読みやすさのスコアは「非常に難解」で、48語からなる文もあり、読み終わるまでに平均20分を要した。
注意を要する疑わしい項目としては「特定のデータ」の収集あるいは共有がある。特定のデータとは事実上あらゆるものになりうる。プライバシーポリシーをいつでも予告なしに変更する可能性というのも疑いの対象であり、情報が削除可能であることの保証がないことも同様だ。
さらには、ユーザーのデータを政府が利用することに関する項目にも警戒すべきであり、第三者へのデータ提供もそうだ。
「大多数のプライバシーポリシーは曖昧な言葉で述べられていて、あなたのデータに何が起きるのかを知ることを困難にしています」とVPNoverviewはいう。「曖昧な文言は、データが漏洩した時に会社を法的追求から守るためでもあります」
(forbes.com 原文)