ビジネス

2022.10.20 10:00

今、ビジネスで強く求められる「責任あるAI」を実現するために


以下に挙げるのは「責任あるAI」でリードする企業の経験に基づく推奨事項だ。

・「責任あるAI」を重役案件に昇格させよ。「責任あるAI」は、習慣的に行われるチェックリスト作業ではなく、むしろ組織のトップマネジメントが取り組むべき対象の一部であるべきだ。たとえば、レニエリス氏たちは、リーディング企業の77%が「責任あるAI」の取り組みに、トレーニング、人材、予算などの物的ソースを投資しているのに対し、回答全体ではその数字は39%に留まると指摘している。そして「(リーディング企業では)製品マネージャーやソフトウェア開発者が『責任あるAI』の決定を左右するのではなく、『責任あるAI』の実装が組織の最優先事項であるというトップからの明確なメッセージがある」と付け加えている。もしそうでなければ、従業員たちには、それを優先するために必要なインセンティブ、時間、リソースが不足することになる。

・あらゆるレベルの全員を巻き込め。また「責任あるAI」(RAI)プログラムには幅広い参加者が必要だと、著者らは述べている。さらに「責任あるAI」を、企業の社会的責任への取り組みの一環だと考える必要がある。

・語るだけでなく実践せよ。著者たちは「予算、人材、専門知識、その他の人的・非人的リソースを含む『責任あるAI』プログラムのあらゆる側面に適切に投資すること」と助言している。「『責任あるAI』の教育、啓蒙、トレーニングプログラムに十分な資金を与え、支援するようにすること。そして組織のトップレベルも含め、さまざまな人や役割を巻き込み、取り組みに参加させること」

・単にリスクやペナルティを回避するためではない。それ以上の意味がある。「成熟した『責任ある』プログラムは、法規制の遵守やリスク削減のみを目的としているわけではない。『責任あるAI』が、組織の文化、価値観、およびより広範な企業の社会的責任の取り組みを表現するために、どのように関係しているかを検討しよう」

・すぐに始めよ。関連する専門知識やトレーニングの不足などと含む、一般的な問題に対処するために「責任あるAI」への取り組みをできるだけ早く開始しよう。レニエリス氏たちは「『責任あるAI』がビジネス上の利益を現し始めるには、時間がかかることがある。私たちの調査ではそれは平均3年である」と述べている。「長いプロセスのように感じるかもしれないが、『責任あるAI』実装の進化はまだ始まったばかりなので、いまから取り組めば、特定の業界や地域で強力なリーダーになれるチャンスがある」

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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