ビジネス

2022.10.16 10:00

仏食品大手ダノンのロシア撤退コストは約1450億円、露企業に事業譲渡

安井克至
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Getty Images

フランスの乳製品・食品大手Danone(ダノン)は14日、ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、ロシア市場から撤退すると発表した。Pepsi(ペプシ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、McDonald’s(マクドナルド)などのグローバル食品ブランドに続く動きだ。

Danoneは発表文の中で、同社の重要な乳製品と植物由来食品の事業の経営権を、ロシア企業(社名は未公表)に譲渡する手続きを開始したと明らかにした。

ロシア市場撤退の費用は10億ユーロ(約1450億円)を見込んでいる。ロシアの事業は今年これまでのDanoneの純売上高の5%を占めていたという。

同社は今回の決定について、ロシアで働く従業員、顧客、パートナーのために「現地での長期的なビジネスの継続性を確保する最良の選択肢」だと考えていると説明した。

Danoneは、ウクライナへの侵攻にともなうロシアに対する数々の制裁措置により、ロシアから撤退、あるいは同国での事業縮小を余儀なくされた多国籍の食品・飲料企業のリストに加わる。先月、PepsiCo(ペプシコ)はペプシコーラ、マウンテンデュー、ミリンダ、セブンアップなどの人気ソーダブランドのロシアでの製造を停止した。同社の最大のライバルであるCoca-Colaも同国での主力ブランドの製造・販売を中止し、現地の瓶詰め会社は地元ブランドとのみ協業している。

スイスの食品飲料大手Nestle(ネスレ)はキットカットやネスクイックなど人気のグローバルブランドのロシアでの販売を見合わせている。しかしPepsi、Nestleともに牛乳、粉ミルク、ベビーフードなど生活必需品とみなされる製品の販売は続けている。McDonald’sやStarbucks(スターバックス)といった他の大手食品ブランドはロシア全土の店舗を閉鎖し、同国から完全撤退した。

Danoneは今週ロシアからの撤退を発表した大手多国籍企業としては日産に続いて2社目だ。日産は発表の中で、ロシアの事業を1ユーロ(約144円)という形だけの金額でロシア国営企業に売却すると述べている。

トヨタ、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)といった他の大手自動車メーカーもロシアでの製造や輸入を停止している。

この他、ロシアから撤退したり事業を停止したりした企業にはNike(ナイキ)、H&M(エイチアンドエム)、ユニクロ、Adidas(アディダス)などのアパレル大手も含まれる。Apple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、Samsung(サムスン)、ソニーなどいくつかのハイテク大手はロシアでのハードウェア販売を停止し、デジタルストアにアクセスできないようにしている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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