1970年以降、人類は40億人以上増加するも野生生物は約70%減少

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1970年以降、人類は40億人以上増加したが、その一方でほとんどの野生生物の数は平均して3分の1以下になった。世界自然保護基金(WWF)が発表した2022年の「Living Planet Report」にある最新の衝撃的な統計だ。

おそらく多くの人が驚くと思うが、最も減少したのは淡水に生息する種で、過去半世紀で平均83%減少した。

生物の多様性の損失が最も深刻なのは中南米とカリブ海諸国で、すべての生物種の平均数は1970年と比較して2018年には94%減少した。全生物種で減少がみられ、中でも淡水魚、爬虫類、両生類が最も減少していた。

この統計は哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類の5000種以上の個体数をモニタリングしたデータに基づいている。

現代社会で動物が生きていくことがなぜこんなにも難しいのか、報告書ではいくつかの原因を挙げている。気候変動、汚染、外来種の侵入、乱獲などだが、WWFは世界的に重要な懸念事項として土地の利用・管理方法の変化を挙げている。

「土地利用方法の変化は陸上、淡水、海洋の多くの動植物種の生息地を破壊または分断しており、自然に対する現在の最大の脅威だ」と要旨にはある。

しかしこの報告書は気候変動にもページを大きく割いており「気候変動と生物多様性の危機」を「地球規模の二重の緊急事態」としている。

例えば、牛を放牧するためにアマゾンの熱帯雨林を伐採して燃やすことを考えてみて欲しい。

WWFは2025年までにアマゾンの80%を保護するという多くの団体の呼びかけに共鳴している。

報告書では残された野生生物を保護するための道筋として、先住民のリーダーシップを取り戻すこと、そして「自然を肯定する社会の構築」を提案している。

「生産と消費の方法、使用するテクノロジー、経済・金融システムにおいて、システム全体の変革が必要だ」と報告書にはある。

また、グローバルサプライチェーンの改革や世界の食糧生産の多様化も提唱されている。

「2030年までに健全な自然が必要だ。これは簡単に言えば、2020年代終わりまでに2020年代の初めよりも自然が増えることを意味する。より多くの自然林、海や川の魚、農地の花粉媒介生物、そして世界中の生物多様性が必要だ」とWWFインターナショナル事務局長のマルコ・ランベルティーニは声明で述べている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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