ヴィサポラスは、ロブロックスに在籍した3年間で没入体験を通じてアーティストをメタバースに取り込む活動を主導し、1億人以上のファンを獲得したが、4月に同社を退職していた。彼は、Web3のパワーでアーティストとファンの関係をさらに強化できると考えている。ヴィサポラスによると、サブスクリプション型ストリーミングサービスとして運営してきたナップスターにこそ、この体験を実現し、持続可能なビジネスモデルを構築することが可能だという。
ナップスターは、これまでに幾度もオーナーを変えた後、この春にWeb3領域で事業を展開する「Hivemind 」と「Algorand」に買収され、非公開化された。Hivemindは最近、LimewireがNFTマーケットプレイスとして復活するのを支援した。Algorandは、仮想通貨とブロックチェーンプロトコルを構築している。
ナップスターは現在、SkyBridge CapitalやAlumni Ventures、Borderless Capital、G20 Venturesなどの新規投資家が参加する資金調達ラウンドを実施している。同社の既存株主には、Brevan Howard Digital、Arrington Capital、RSE Venturesが名を連ねている。
「今は、Web3の普及に向けて追い風が吹いている。アーティストは他のプラットフォームの経済性に嫌気が差し、Web3を切望するようになった。ファンもロブロックスなどのプラットフォームで好きなアーティストをより身近に感じる体験をし、Web3を望むようになった。また、皮肉なことに、今ではレーベルがWeb3を後押ししている」とヴィサポラスは言う。
独自トークンも発行
ナップスターは、ユーザーにどのような新体験を提供するのだろうか。ヴィサポラスによると、現在1億以上の楽曲を提供しているストリーミングサービスを基盤に、Algorandの技術を使って独自トークンを発行し、収集品以上の価値を提供する計画だという。
「プロフィールのようなシンプルなものが、アーティストとユーザーのウォレットになりつつあり、ログインするとプロフィールに多くの福袋があることが表示される。我々は、20年間で蓄積したデータをもとに、人々が何を好み、何を好まないか判断することができる」とヴィサポラスは言う。
ナップスターが、変化の激しい市場でブロックチェーンによる成功を収められることができるかは不明だ。ヴィサポラスによると、現状の音楽ストリーミングサービス加入者は数百万人と、スポティファイの1億8800万人やアップルミュージックの推定8000万人と大きな開きがある。しかし、ナップスターには、他社にない強みがあると彼は考えている。