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2022.10.16 11:30

EV版がお得かディーゼル仕様か「シトロエンC4」の比較テスト

個性派代表シトロエンC4。EV仕様のeC4と比較してみた。


ステアリングホイールの上下の部分がフラットになっているのはシトロエンならではのユニークな味付け。運転席の真ん前のメーターパネルは5.5インチのフル液晶タイプだけど、直系7、8cmのタコメーターを表示すると、おそらく「自動車史上最小」であることに驚く。これはちょっと貧弱だね。でも、ユニークなツマミ式のシフトセレクターは綺麗だし気持ちがいい。幸いなことに、デザイン重視のルーフラインは後部席のヘッドルームを犠牲していない。これは嬉しい。
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運転席の写真

さあ、C4とe-C4のそれぞれの内装はほとんど一緒だけど、走りと加速性、乗り心地はかなり違う。

まずは、ディーセルのC4に試乗した。スムーズな8速ATと組み合わせた1.5リッター直4ディーゼルターボは、最高出力130psと最大トルク300Nmを発生するけど、加速性には文句なし。ただ、アイドリングではディーゼルのガラガラの音が少し気になるけど、走り出せばその音は消える。車重1,380kgに対して300Nmの大トルクは強力で、一般道では軽くアクセルを踏んだだけで十分速い。
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後ろから見たC4
後ろのデザインもC4(写真)とe-C4は同じだが、このボリューム感が走りの力強さとマッチする。

今回のC4に乗る前までの数週間に5台ほどのドイツ車に乗り継いだので、感覚が少し敏感になっていたかもしれないけど、C4のペダルは軽すぎる感じがした。つまり、発進時によほど気をつけない限り、クルマが少し跳ねるし、止める時にはよほど丁寧にブレーキペダルを踏まなければ、クルマはピッチングを起こした。ペダルの剛性を少し上げて欲しい。スムーズに運転はできるけど、ペダル操作にはかなり気を使うのが辛い。

ところが、前輪駆動のe-C4に乗り換えると、世界が一変する。もちろん、内装はほぼ一緒だけど、その走りで僕も笑顔に変わる。50kWhという電池容量も、一満充電あたりWLTCモードで405kmという航続距離は、EV界ではなかなか優秀と言える。C4のディーゼルも単独ではいい仕上がりだけど、e-C4の滑らかさとレスポンスにかなわない。

横からみたeC4
e-C4もC4にもある前ドア下のアクセントはフロントのエアインテーク口と同じブルー。

とにかくe-C4の加速性は素晴らしいだけではなく、静かだ。それに、先ほど触れたペダル問題がない。e-C4のアクセルとブレーキペダルの剛性は良く、踏む操作に気を使わないで済む。スムーズに力強く加速するし、ピッチングなしでブレーキングできる。しかも、バッテリー、インバーターとモーターという重い部品がe-C4の低い位置にあるので、通常のC4に比べて、コーナーに入ってもe-C4はほとんどロールしないし、ステアリングも手応えがある。

充電状況だけど、「e-C4」はCHAdeMO規格の急速充電に対応しており(充電器の出力によるものの)50分でバッテリー容量の約80%まで充電することができる。

e-C4の515万円に対して、C4は389万円だから、その120万円の差は大きい。ここで、補助金の話をしようと思ったけど、どんどん変わりつつあり地域差もあるので、ご自分でEVを買うおうと思ったタイミングで調べて欲しい。とにかく合計80万円以上は安くなるらしい。

今回、C4とe-C4を比較してみて、運転を重視するなら、e-C4を選ぶ。でも、外でチャージをしなければならない人は充電にかなり気を使うから、充電問題を気にせず、気持ち良く所有するなら、燃費の良いC4ディーゼルをお勧めする。自分の家に200Vの充電器のある人なら、EVの所有が問題にはならないだろう。 僕なら、e-C4にするけどね。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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