4. Moonshot Mindset
3つのマインドセットを見て来た時、豊かな資源が目の前に広がっていて、それらを掴むための技術も、我々の生命時間も存在する。そうなると当然の帰結として、我々は、既存の考え方、価値観にとらわれない野心的なゴール、世界観を持つしかないのだ。
それが、ロケットの月面着陸レベルのチャレンジを狙いに行くMoonshot Mindsetだ。
幅広い領域で優れた技術力を持つ日本が、世界をリードする超高齢社会のモデルケースになっていく。実は、閉塞感、諦めの気持ちを抱く必要などなく、日本こそが世界を再びリードできる潜在能力を秘めている。日本に不足している部分は、Moonshot Mindsetだけなのだ。
今年4月に開かれたAbundance360 Summitでは、この4つのマインドセットがアジェンダとなり、それぞれを最先端の場所で体現している人物たちが、それを実践することで得た成果や知見を語り尽くした。
刺激を与えてくれるのは、プレゼンテーション、パネルディスカッションだけではない。Summitの進行は、何と人間そっくりのSAMという女性”デジタルパーソン”が担い、途中で登場したヒト型ロボットのヒューマノイドと勝手に掛け合いを始めるなど、「未来において、人間の役割は何か?」と不思議な気持ちになるぐらい、未来観があった。
最後にピーターが「これまでの100年分の変化と同じくらいの変化が、次の10年で起きる」と力強く語り、会場の未来への熱気が最高潮になったところで、2022年のAbundance360 Summitは幕を閉じた。
日本はバブル崩壊後、「失われた10年」が20年、30年と推移してきた。「失われた40年」にするか、100年分の変化のチャンスを総取りする10年にして形勢逆転をするか、全てはマインドセットにかかっている。
植野大輔(うえのだいすけ)◎DXJAPAN代表。早稲田大学政治経済学部卒業、MBA取得、商学研究科博士後期課程単位満了退学。三菱商事入社、ローソンへ約4年間出向、PontaカードなどのDXを推進。ボストンコンサルティンググループ(BCG)を経て、ファミリーマートへ。ファミペイの垂直立ち上げなどDXを統括・指揮。アンドパッドCMO、モルゲンロットCSOなど急成長スタートアップのCxOも歴任。名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)客員教授。
堀田創(ほったはじめ)◎1982年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。在学中の2005年よりシリウステクノロジーズに参画、チーフアーキテクトとして位置連動型広告配信システムの研究開発を主導。06年にネイキッドテクノロジーを共同創業、11年にミクシィへ売却。その後、AI-OCR・音声認識・自然言語処理など、人工知能によるビジネスソリューションを提供する「シナモンAI」を共同創業。
二人は共著として、今年1月に『トランスフォーメーション思考 未来に没入して個人と組織を変革する』を上梓した。